本年度の計画に基づき再調査を実施した結果、知的障害を除く発達障害と診断を受けている、もしくは療育などの支援を受けている2歳から12歳までの子どもの両親53組の夫婦のペアデータを収集した。収集したデータを元に父親に関する自己理解項目、育児に必要な要素に関する項目の因子分析を行い尺度に必要な項目を検討した。尺度に用いる項目を自己理解項目18項目、家族機能を高めるために育児に必要な要素として子どもとの関係性項目8項目、配偶者との関係性項目16項目に確定した。加えて、ストレスコーピング尺度、レジリエンス尺度、育児ストレス尺度(Parenting STRESS Index:PSI)を追加し、父親の個人要因や父親としての要因を明確に示すことができる項目を追加し、必要な要素項目を強化させた。同時に、父親の影響を評価するために、配偶者の育児ストレスの測定と発達障害児の成長発達・問題行動の低下をStrength and Difficulties Questionnaire(SDQ)=子どもの強さと困難さアンケートを用いて効果測定をした。これらを共分散構造分析を行い、父親の状態が子供の成長発達と配偶者の育児ストレスにどのように影響するのかモデルを構築し、妥当性と信頼性を検証した。モデルとしての適合度はやや低いものの、父親の状態が良いと発達障害児の問題行動(多動/衝動性)が減少することに関して有意な結果が証明された。また、配偶者が子どものSDQを評価した結果と同様の傾向を示した。また、配偶者の育児ストレスにおいてもストレスが減少することが数値的に示された。そして、父親の状態の中でも、父親の自己理解に関する項目がその他の項目よりも高い相関を示したことから、父親が自己理解する必要性が示唆された。これを元に、支援プログラムの内容を構成しパイロットで実施し新たな支援プログラムを確立することができた。
|