研究課題/領域番号 |
19K19670
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
影山 葉子 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (50566065)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 家族看護 / 代理意思決定 / 共同性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、患者の代わりに意思決定を行う家族が、意思決定を行うなかで関わった看護師との経験を通して、看護師と意思決定を行う共同性についてどのように認識しているかを明らかにすることである。本研究は、ACP(Advance Care Planning)を実践するうえで重要なSDM(Shared Decision-Making)の概念を手がかりに、代理意思決定をした家族自身の経験から、意思決定を看護師と「共同で行うこと」に着目する研究である。 ACPやSDMに関しては、近年活発に議論がされるようになり、関連する研究も増えてきている。本年度は、文献研究を主に行った。近年のACPやSDMに関する研究の動向を改めて整理するため、これまで参考にしてきた国内外の研究論文に最新の研究論文を加えて批判的に検討をした。また、研究の枠組みとなっている理論についての理解を深め、倫理学や社会学といった隣接した学問分野の文献にも目を通し、知見を得た。日本の社会的、文化的な背景を考慮して、特に国内での現状を探るために実践報告や事例検討等の文献も参考にし、どのような場面でどのような実践がされているのかについて情報収集を行った。これらの内容をふまえながら、研究計画書やインタビューガイド等を作成し、研究倫理審査の申請を行った。 本年度の文献研究の成果を論文投稿もしくは学会発表にて公表する計画であったが、できていないため、次年度には行っていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
所属研究機関の臨床研究倫理委員会の承認は得られたが、研究対象者のリクルーティングを始めようとした折にCOVID-19に関するニュースが伝えられ、研究対象者を募ることが全くできていない状況である。本研究の対象者には介護をしている者や高齢者が多く想定されていることから、対象者との接触そのものが難しい状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
今後はCOVID-19の状況をみながら、引き続き研究対象者のリクルーティングを行っていく。困難な状況が続くようであれば、研究対象者の条件や研究手法などについて再検討していく。 本研究では、患者の代理意思決定者となる家族が、看護師と関わったこれまでの経験のなかで、「意思決定を一緒にすること」について説明したり表現したりする語りの内容から「共同性」の認識を明らかにしていく。そのため「共同性」については、意図的にあらかじめ定義してはいない。しかし、今後「共同性」についてデータ分析や考察をするにあたり、家族の意思決定支援に関する看護学の先行研究において「意思決定を一緒にすること」がどのような文脈で用いられていたのかを少し検討しておく必要がある。研究対象者のリクルーティングの合間に、この作業を行っていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、研究の情報収集のための交通費・宿泊費、研究のアドバイスを受けるための交通費、研究対象者のリクルーティングに必要な交通費といった国内旅費をほとんど使用することがなかった。次年度はCOVID-19の状況を考慮しつつ、研究対象者のリクルーティングやインタビュー調査を行い、研究分析のアドバイスを受けることも考えられるため、そのための経費として使用していく。 また、本年度は本研究に関する成果を残すことができなかったため、次年度は本研究に関連した総説等の論文投稿や、インタビュー調査の途中経過等の報告を学会発表を行うことを予定しており、そのための経費として使用していきたいと考えている。
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