本研究の目的は、「育児をする父親のメンタルヘルス測定尺度」の開発を行い、その信頼性・妥当性の検討を行うことである。 本尺度の開発により、父親の心理的健康のスクリーニングが可能となり、育児に伴う不安や抑うつ傾向の早期発見・予防に繋がる。看護者にとっては、父親のワークライフバランスの実現に向けての助言・指導に活用できる。ひいては、子どもが健やかに育つ社会の実現に向けたサポートシステムの構築に繋がると考えている。 2019年度は、既存の尺度・先行研究・予備調査から「育児をする父親のメンタルヘルス測定尺度」の試作尺度を作成後、内容妥当性・表面妥当性の検討を行い、プレテストを実施し、尺度原案を作成した。 2020年度は、昨年度から引き続き、「育児をする父親のメンタルヘルス測定尺度」原案を用いて、本調査を実施した。306例のデータが収集され、項目分析、構成概念妥当性の検討、内的整合性の検討、併存妥当性の検討を実施した。 本年度(2021年度)は、確認的因子分析によりモデル適合を検討した。その結果、「育児をする父親のメンタルヘルス測定尺度」は、【家庭における心の安寧】、【心身の健康感】、【父親として感じる満足】、【父親としての有意義な生き方】の4因子25項目で構成された。クロンバックα係数は、0.918であり信頼性が確認できた。妥当性は、探索的因子分析により構成概念妥当性を確認できた。併存妥当性は、既存尺度と相関が認められた。確認的因子分析によるモデル適合度はGFI=0.828、AGFI=0.792、CFI=0.873、RMSEA=0.078であり、統計学的許容水準を概ね満たしていた。開発した「育児をする父親のメンタルヘルス測定尺度」の信頼性と妥当性を確認することができた。以上の結果を論文として発表した。
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