研究課題/領域番号 |
19K19684
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
藤田 和佳子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 准教授 (10732753)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 胎児心拍数モニタリング / ハイリスク妊娠 / ザンビア / 分娩監視装置 / 助産師 |
研究実績の概要 |
本研究は、ザンビア国の一次レベルからの母体搬送を受け入れる二次レベルの病院において、入院時に同意の得られた産婦に対し、分娩監視装置(CTG)を装着し、カルテより産婦のリスク要因を収集し、CTG判定が異常波形を示す要因を明らかにすることを目的としている。この結果により、CTGを装着すべき基準を検討することに寄与したい。2019年に、ルサカ市のマテロレベル1病院において、予備調査を実施した。予備調査では、調査に使用するiCTG(携帯型モバイルCTG:Bluetoothにより計測計と波形を表示するタブレットが接続可能であり、Wifi接続により医療従事者の端末にデータ通信が行える)の使用が可能であることを確認した。 予備調査では、18名の産婦の同意を得て、iCTGを用いて入院時の胎児心拍数モニタリングを行った。また、母体のリスク要因の情報を収集した。判定は、正常波形であるレベル1が7件、亜正常波形であるレベル2が5件、軽度異常波形であるレベル3が6件であった。異常波形6件の分娩時期の内訳は、潜伏期が2件、活動期が4件であった。活動期の異常波形(4件)は、全て破水を伴っていた。トラウベによる間歇的聴診法では、破水後の胎児心拍数の異常所見を発見できていないことが示唆された。潜伏期における異常波形のうち1件は、既往帝王切開術、HIV陽性妊婦であった。 母体リスク因子として「母体年齢、妊娠週数、経産歴、子宮口開大度、産科歴、妊娠高血圧腎症/高血圧の有無、糖尿病、肥満、前期破水、羊水混濁、感染症、羊水過多、羊水過少、発熱、出血、遷延分娩の有無」は、入院時のカルテから情報収集が可能であることを確認した。しかし、羊水過多、羊水過少の診断の信頼性については、妊婦健診時の診断方法の確認が必要であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度に本調査を予定していたが、COVID-19の流行に伴い、海外渡航が困難となり、本調査を実施することができなかった。2021年度についても、南アフリカ共和国でオミクロン株が流行したことに伴い、調査地であるザンビアを含む南部アフリカ諸国に渡航禁止の勧告が出された。オミクロン株の特徴等の今後の予測が困難であったため、本調査の実施延期を余儀なくされた。2020年度、2021年度と、COVID-19 の流行に伴う行動制限により、本調査の実施が行えていない。
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今後の研究の推進方策 |
①2022年6月までにUNZABREC(ザンビア大学医学系研究倫理審査委員会)の研究許可について延長申請を行う。 ②2022年8月に現地に渡航し、本調査を実施する。外務省の感染情報では、未だにザンビアはレベル3(渡航中誌の勧告)を解いていないが、ザンビア保健省は、2022年4月1日現在の最新のステートメントにて、新型コロナウイルス第4波の感染者状況が落ち着いたこと(感染者数の激減、過去3週間の検査陽性率が平均5%以下を推移及び入院患者数と死者数の減少)を踏まえ、感染予防措置の緩和を公表した。 ③8月の渡航時に、現地でデータ収集を行える研究協力者をリクルートし、次年度中にデータ収集(200名以上)を実施できるための方策を研究協力者と共に再検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19流行によるザンビアへの渡航中止勧告により、本調査が実施できなかったため。本調査の渡航費、謝金、現地の倫理審査委員会の延長申請にかかる費用に使用する。
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