研究課題/領域番号 |
19K19685
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研究機関 | 岩手保健医療大学 |
研究代表者 |
大谷 良子 岩手保健医療大学, 看護学部, 助教 (60811718)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 体外受精後妊娠 / 出産体験 / 思いのプロセス |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、体外受精による妊娠・出産という体験の受け止めやそれに付随する状況を明らかにすることである。 研究デザインは半構造化面接による質的帰納的研究である。研究対象者は、東北地方および関東圏内の生殖補助医療から分娩までを扱っている医療施設にて体外受精により妊娠し、分娩に至った女性30名とした。 2019年度は、研究者が所属する施設の倫理委員会の研究倫理審査を経た後、研究を円滑に進めるための準備をおこなった。研究者自身のインタビューアースキル、分析スキル向上のため、書籍購入、文献精査、質的研究における分析手法の研修会や不妊カウンセラー対象のセミナーへの参加をおこなった。また、インタビュー調査における適切なデータ管理をおこなうために、機器環境の整備をおこなった。さらにパイロットスタディでは、不妊治療で妊娠・出産した女性は、我が子を無事に出産するという役割を自覚し、その役割を果たすことで自身の不妊治療体験の肯定につながること、次子不妊治療を行うにあたり、妊娠への期待とともに周囲や上の子への配慮や対応への悩み、自然妊娠への憧れを抱く女性もいるという結果が得られ、その研究成果を周産期関連・生殖看護関連学会で発表した。学会参加の際には、最新の情報を得るとともに専門領域における有識者との情報交換を心がけた。並行して生殖補助医療および分娩を扱っている医療施設への研究協力依頼を開始した。 しかしながら、医療施設への研究協力依頼の開始が予定より遅れ、新型コロナウイルス感染症拡大の時期が重なったことにより、県外への移動や医療関連施設への往訪が困難となり、現在までのところ施設側との交渉は一時中断となっている。今後国内の状況をみながら、該当施設への研究協力依頼を再開し、インタビュー調査をおこなう予定である。加えて、県内で可能なインタビュー調査の計画も検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の実施にあたり、データ管理や研究遂行のための施設整備は順調におこなっている。また、研究を円滑に遂行するための学会参加、専門領域における有識者への相談や情報収集、研究者のスキル向上のための講習やセミナー参加については予定通りである。 研究者所属施設での研究倫理審査承認において、対象者の人権擁護を図るため、身体的精神的安全性の確保を考慮した内容を検討するようにとのアドバイスがあった。よって倫理的配慮を入念に検討するための期間を必要としたことで、2019年内の医療施設への協力依頼が遅れ、実際の研究協力依頼開始は2020年1月からであった。そのため、新型コロナウイルス感染症拡大の時期と重なり、感染拡大防止等の対応で、県外への移動および医療施設への往訪が困難となった。現在、本研究におけるインタビュー調査の実施は中断し、2019年度に予定していた医療施設への協力依頼、医療施設での対象者への研究協力依頼、インタビュー調査、データ収集がなされていない状態である。
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今後の研究の推進方策 |
国内における新型コロナウイルス感染症の現状をみると、現時点では直ちに該当医療施設へ赴き、研究依頼をおこなうことや、その後の医療施設内での対面インタビュー調査を開始することは困難である。一方、インタビュー内容もデリケートな項目が多々含まれており、研究者との信頼関係のもとそのやりとりが成り立つことをふまえると、対面でのインタビューが最善であり、Web上でのインタビュー等の選択は難しいと考える。 今後国内の状況をみながら、該当施設への研究協力依頼を再開し、その後のインタビュー調査へと進めていく予定である。加えて、生殖補助医療をおこなっていない県内の分娩施設への研究協力依頼や、対象者へのインタビュー時期を退院後に変更する等、県内で可能なインタビュー調査の計画も検討している。今後の専門領域有識者への相談や情報収集、研究者のスキル向上のための講習やセミナー参加については、開催される学会へは積極的に参加し、その他Web会議や動画配信、メール等を利用し可能な範囲で遂行していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度(2019年度)は、生殖補助医療および分娩を扱っている医療施設への研究協力依頼を開始したものの、新型コロナウイルス感染症拡大の時期が重なったことにより、県外への移動や医療関連施設への往訪が困難となったため、施設側との打ち合わせ等を中断したままとなった。そのため研究協力依頼先への往訪にかかる旅費、その後行う予定であったインタビュー調査のための旅費およびインタビュー対象者への謝礼金、さらにデータ整理等の事務的補助員の経費、また、開催中止となった周産期関連学会参加の旅費・宿泊費など、予定されていた支出がなされていない状態となっている。次年度は今後の状況をみながら、当初の予定の計画を一部変更も検討し、初年度の予定を取り戻すべく研究を進めていく。
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