本研究の目的は体外受精による妊娠・出産という体験の受け止めやそれに付随する状況を明らかにすることである。研究デザインは半構造化面接による質的帰納的研究とし、研究対象者を東北地方及び関東圏内の生殖補助医療から分娩までを取り扱っている医療施設にて妊娠し、分娩に至った女性とした。 2022年度は、いまだCOVID-19の状況が落ち着かない状況の影響もあり、研究者の行動も大幅に制限され、医療施設への直接訪問および対象者へのコンタクトが難しい状況であった。2021年度における研究協力施設の開拓やインタビュー調査協力者の申し出がほとんど望めなかった結果をふまえ、再度複数医療施設へメールや電話・文書等で協力依頼を行った。その結果1施設より研究協力の承諾を得、新たな研究協力者を募った。今年度は2名の研究協力者を得、ICTを利用したリモート及び対面でのインタビューをおこなった。並行して研究者のさらなるインタビュースキル・分析スキル向上、最新の知見を得る目的で生殖看護に関連する学会及び研修会への参加や、不妊カウンセラー養成講座等にオンラインにて複数回参加し、オンライン上での意見交換をおこなった。 全研究期間を通し、3名の研究協力者を得、2名がリモートによる面談、1名が対面による面談でのインタビューであった。インタビュ内容によるデータ分析から、不妊治療期間においては、治療や妊娠に対する不安や葛藤、配偶者をはじめとする周囲に対する対応や思いが語られた。妊娠期間では妊娠継続に対する不安や配偶者との関係性、不妊治療の振り返りに関する思いが語られた。出産においては予期しない分娩状況に伴う感情の変化と児に対する強い思いを中心に語られていた。
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