研究課題/領域番号 |
19K19689
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研究機関 | 聖路加国際大学 |
研究代表者 |
馬場 香里 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 助教 (00825127)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 児童虐待 / web-learning / 周産期 / 教育教材 |
研究実績の概要 |
本研究は、周産期看護職が、虐待予防に必要な包括的知識を習得し、知識を活かした実践能力獲得を目指すブレンド型学習の手法(Web-learningと対面学習の混合)を用いた教育プログラムを開発し、評価することを主目的としている。2019年度は、ブレンド型学習による教育プログラム開発と実施に向けた準備として、主に2つのことを実施した。 1つ目に、国内外のガイドラインやデータベースにより、網羅的文献レビューを実施し、教育プログラムに反映するためのエビデンスを得た。虐待ハイリスク者の抽出方法には、自己記入質問紙ではなく、インタビュー法を用いたFamily Stress Checklistが比較的正確度が高いことが示された。特に近年では、周産期のメンタルヘルスの問題のうち、親から子へのボンディング(愛着)障害と虐待との関連が強く示唆された。また、虐待ハイリスク者への虐待予防を目的とした介入法としては、妊娠期から産後6か月まで、1週間に1回の定期的な専門家による自宅訪問が効果的であることが示された。専門家とは、一定のトレーニングを受けた看護師やソーシャルワーカー等を指している。また、専門職として資格を持たない場合も、専門的なトレーニングを受け、専門家からスーパーバイズを継続して受けているような専門職助手が介入を実施し、効果が示されたRCTもあった。これらのエビデンスの一部は、学会発表や書籍にて公表した。 2つ目に、2016年度に研究者が作成した「Web-learningプログラム」について、対象ニーズの再分析を行った。「DV」や「ロールプレイ」に対する評価平均点が低かったことから、「DV」に関する動画では所要時間が長く、声を吹き込むような形式で動画作成したため、この点が課題となっていた。「ロールプレイ」に関しては、解説動画が必要であるとの課題が抽出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、虐待事例に対する実践のエキスパートである専門職(小児科医師、看護師、精神科医、臨床心理士等)複数から、教育プログラム改善にむけた意見聴取を行う予定であったが、文献検討やデータの再分析に留まった。また、シミュレーションを中心とした対面学習のためのシナリオを作成するため、国内外で実施される教育プログラムを視察し、知見を得る予定であったが、先方との予定調整が進まずに延期となっている。これらの理由から、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の成果から、「Web-learningプログラム」のコンテンツの修正や、対面学習のためのシナリオ作成ついて、検討を進めていく予定である。また、本年度に達成できなかった、専門家からの意見聴取や国内外で実施されている教育プログラムの視察を実施していく。さらに、本年度に得られた成果のうち学会発表した部分については、論文投稿により公表することを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の研究がやや遅れたことにより、専門家への意見聴取の実施に至らず、研究協力者への謝金や、インタビューデータ逐語録作成のための業務請負費として計上していた経費を使用できなかったため。
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