研究実績の概要 |
本研究は、周産期看護職が、虐待予防に必要な包括的知識を習得し、知識を活かした実践能力獲得を目指すブレンド型学習の手法(Web-learningと対面学習の混合)を用いた教育プログラムを開発し、評価することを主目的としている。 2019年度は、国内外のガイドラインやデータベースにより、網羅的文献レビューを実施し、教育プログラムに反映するエビデンスを得るとともに、2016年に研究者が作成した「Web-learningプログラム」について、対象ニーズの再分析を行った。 2020年度は、虐待予防として特定妊婦を中心とした社会的ハイリスク妊産婦への支援や、児童虐待事例への直接的な支援を行っている専門家8名(保健師、助産師、看護師、社会福祉師、児童福祉司)への調査研究を行った。調査概要は、「Web-learningプログラム」を視聴してもらい、「Web-learningプログラム」に関する評価を質問紙にて回収した後、回答に関する具体的な意見聴取を得たところ、具体的な改善点が抽出された。 2021年度は、これらの改善点を反映した「改訂版Web-learningプログラム」を作成した。改定版プログラムは、イラストをアニメーションにした1つ5分程度の動画(section)8つで構成し、動画視聴後にクイズと解説、動画のポイントを表示した。改定版プログラムは、受講者の受講前後の知識テスト得点の変化等によって効果検証を行った。妊産婦に関わる職務に就いたことのある看護職91名より受講の同意を得、68名の看護職が受講を完遂した。受講前テストの平均点は9.8、受講後テストは11.9(t=7.5, p<0.001)であり、有意に上昇した。各動画内容に対する理解度を5段階(5:とてもよく理解できた)で回答を得、全ての動画で8割以上が4以上と回答し、2以下と回答した者はほとんどいなかった。
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