研究課題/領域番号 |
19K19695
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研究機関 | 明治国際医療大学 |
研究代表者 |
岡本 留美 明治国際医療大学, 看護学部, 客員研究員 (70769322)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 出生前診断 / ダウン症 / 子ども / 出産・育児 / 母親の体験 |
研究実績の概要 |
令和2年度は,緊急事態宣言の発令による度重なる外出の自粛要請等の現状を鑑み,これまでに収集した研究内容に合致した国内外の文献を中心とした資料調査を主とした.ダウン症児の母親やその家族の経験に関する国内外の27文献を整理した結果,以下のことが明らかとなった.ダウン症児の母親の心理に関する研究では,母親の受容過程や告知後の反応,ソーシャルメディアの影響や将来に対する不安などの内容であった.ダウン症児の親(父含む)の体験に関する研究は5件あり,父親のみを対象とした研究は4件であった.父親は母親と同様の受容過程を経ること,父親を対象とした研究の蓄積を阻む要因として対象へのアクセスの難しさが挙げられていた.なお,出生前診断を受けたダウン症児の親に関する研究は2件(海外)のみであった.今後は,様々な出生前診断が広がるなかダウン症児の母親とその家族の経験をより深く理解し出生前から将来を見据えた幅広い支援のあり方を社会全体で検討していく必要性が示唆された. 研究実施にあたっては,質問紙調査やオンラインでのインタビューも検討したが,本研究は,その身を携えた人と人が出逢う場において生じるその場の雰囲気や調査者に感じられたことをも重視するため,あくまでも対面でのインタビューをおこなっていくこととした.緊急事態宣言渦ではあるが,A市内のダウン症児を育てる親の会の活動も再開しつつあり,出生前診断に関連したピアサポートの現状なども支援策の一つとして重要であると考えその実態を把握していく.また令和3年3月21日に厚生労働省の「人を対象とした生命科学・医学系研究の倫理指針」が告示された.さらに,COVID-19感染予防に関連したを内容等を追加し一部計画を修正し調査を進めていく. 今後も引き続き調査が必要であるため,令和3年度まで1年間,研究期間の延長を行うこととした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨今のCOVID-19蔓延に伴い,医療機関は逼迫している現状にあるため,協力者紹介の依頼の時期等は見合わせた.代替策として地域の開業助産師を通じたリクルートをすすめている.
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度も引き続き対面による調査を進めていくが,インタビューの際は,実施前の検温等のヘルスチェックを行いソーシャルディスタンスを保つなど感染予防対策を講じる.なお,調査者も健康観察やワクチン接種を行い感染予防に留意し調査を進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度,参加予定であった学術集会やセミナーなどがオンラインでの開催となった.また,調査に関する打ち合わせ会議等もメールなどのweb上での開催となったため,それらに関連した未使用の旅費などが余剰として生じた. 令和3年度,使用予定の繰越金は,インタビューに関する録音データのテープ起こしを業者等に依頼する謝金,調査にかかる旅費や研究の成果物を纏める際に必要となる図書購入,および英文校閲等にかかる費用として使用する予定である.
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