研究課題/領域番号 |
19K19704
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小川 真寛 京都大学, 医学研究科, 助教 (00732182)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 活動の質 / 評価法 / 認知症 / 作業療法 / QOL / A-QOA |
研究実績の概要 |
認知症高齢者は記憶障害,言語障害等から,自己の心理や意思表出に困難が伴い,本人主体のケアや支援に苦慮することが多い.そのため,申請者らはこの問題の解決に向け,QOA評価法を開発してきた.本評価法は活動から引き起こされる本人に対する心理社会的効果を観察から評価する.評価法の開発が進み新たな課題として,認知症高齢者に対して本人主体のケア実現に向けて,QOA評価法の普及のための教育や評価法の特性の分析が必要と考えた. そこで本研究の目的として,①QOA評価法の教授,学習者の評価スキルの検証等を行うことで教育システムの構築,②教育前後での調査から教育システムの効果を初期的検証,③教育を通してQOA評価法の大規模データ収集により評価法の特性を分析することの3点とした. ここまでの1年間で①のQOA評価法の教育システムのプロトタイプを構築し,29名の認知症を専門とする作業療法士に対して,2日間のQOA評価法に関する講習会を実施した.現在②の目標であるその教育効果の検証の準備を行っており,これらの調査では,研修直後のアンケート,前後の自己効力感の変化,そして研修実施後に実際にQOA評価法を用いて評価したデータの分析に基づきその教育効果に関して検討を行う予定である.そして,それらを教育システムにフィードバックすることで,より質の高い教育システムの構築を目指す予定である. 一方で,新型コロナウイルス感染拡大により,今後のQOA評価法の教育システムを検証する場としての研修会の実施が困難なことが予測され,計画を変更あるいは延長して実施する必要があると考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定では今年度は教育システムを作成し、その内容の検証を来年度に研修会として実施する予定にしていたが、準備が順調に進み前倒しして今年度研修会を1回行うことができた。一方で、新型コロナウイルス感染拡大による影響で、2020年4月中に予定していたもう1度の研修会を延期とし、延期日程での開催の準備はしているが、研究協力者の募集の案内も困難であり、実施の目途が立っていない。積極的な広報活動により教育システム構築、検証事業に参加してくださる方が集まっていたにも関わらず、困難で残念な状態である。 このように昨年度までは計画以上に進んでいると評価できるが、現状これからの計画が滞っているため、現段階ではおおむね順調に進展しているとして評価した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、研修会を通した教育効果の検証を行いながら、教育システムの改善を行っていく予定である。またその中で、収集されたデータの分析を通して、QOA評価法についての測定法としての特徴の分析も並行していく予定である。 しかしながら、本研究でのデータ収集手法が教育システムを構築して、それを用いて複数人に対して講義形式での教育をするため、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からしばらく予定通りの形で研究の実施をすることが難しいことが予測される。感染拡大が終息してから、予定通りの形で実施するか、それとも状況に合わせて、遠隔で行える媒体を活用するなどの方法を変えて行うか、研究自体を延期するか等、今後検討が必要と考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
全体的な予算の減額により当初予定していた研究協力者への旅費を支払うことをやめたためが一つの要因である。それにより、大幅に予算が縮小したこと、加えて計画では謝金の執行をする予定であったが、アンケート調査が終了していないため、謝金の支払いがまだであることから、予算の執行自体に遅れが生じていることも理由である。
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