研究課題の目的は、介護を機に離職を選択する息子介護者の健康問題が生じるプロセスを明らかにすることである。また、本研究課題ではインタビュー調査を行う質的研究方法を用いる。したがって、息子介護者を対象にインタビューデータを収集していくことを研究計画作成当初の予定としていた。しかし、データを収集していくにあたり、男性介護者として対象の幅を広げたデータ収集の必要性があると考えたため、男性介護者を対象にインタビュー調査を行った。 得られたインタビューデータの分析を行った結果、以下の研究成果が得られた。男性介護者は、性別に付随させた社会的役割である性役割の規範と、男性介護者が担う介護役割の間で葛藤を抱えていることが示唆された。また、介護離職を選択した男性介護者は、介護が仕事になるという認識のもと、介護を継続するに至り、介護が人生の目標となる可能性が示唆された。介護期間中は人生の目標となった介護を糧に、介護生活を送ることができる。しかし、介護終了後は人生の目標を喪失する経験につながる危険性があることが考えられる。以上のことから、男性介護者は性役割の影響を受けながら、自身の介護役割についての自己認識を統合していることが示唆された。 最終年度である今年度は分析結果の考察の検討を行い、学会発表を行った。今後は論文執筆を行っていく予定である。
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