最終年度は、職場環境の情報収集をする様子をアイトラッキングシステムを用いて可視化したものとインタビューの結果を用いて、熟練産業看護職の情報収集の特徴を分析した。 アイトラッキングの専門家からの分析アドバイス、公衆衛生看護学の研究者からの保健師としての視点のアドバイスを得て分析した結果①全体を見てから、気になるところをみる②気になったところを先に見て、その後見ていないところを見る③端から見ていくが、気になると一旦そこを確認してから進む、という3つのパターンが確認できた。この結果とインタビューの結果から、必ず全体をくまなく見ているということと、気になるところは視線を止めるが、どれほど気になったのかということと注視時間の長さに関連はないということがわかった。 研究期間全体を通して実施した研究の成果について述べる。ストレスチェック結果をもとにした職場環境改善のための看護支援を明らかにし、看護支援プログラムを開発することを目的とし、調査を行った。まずは、職場環境改善のために産業看護職がどのような支援を行っているのか、支援の対象、方法、連携する対象について産業看護職にインタビューを実施した。その結果、ストレスチェック導入計画、ストレスチェックと職場環境改善計画から評価まで、そして日頃からの働きかけ等、すべてのプロセスにおいて支援を実施していることが明らかになった。一方で改善すべき課題をどのようにとらえているのかは明らかにならなかったことから、職場の観察ポイントを可視化することを目的に、架空の職場の写真を用いた視線分析を熟練の産業看護職を対象に行った。その結果共通していたのが、全体をくまなくみるということと、気になったところと気にすべきと考えているところは視点を止めて確認しているということであった。今後は職場環境改善支援プログラムを作成し、職場での活用を試みることが必要であると考える。
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