本研究は、非侵襲かつ簡易的に姿勢を評価できるプログラムを開発し、開発したプログラムと障害との関係性を明らかにすることを目的とした。 令和元年度では、簡易かつ非侵襲的に被写体の形状認識ができるキネクトセンサを用い、Time of Flight方式(赤外線の照射光と反射光により空間座標を予測するシステム)を応用することで、骨軸の同定を必要とせずに形状からのアライメントを算出するプログラムを作成した。衣服による影響はあったが、測定値には高い級内相関係数を得ることができた。 令和二年度では、若年健常者を対象として、脊柱アライメント計測の妥当性が示されているスパイナルマウスを用いて、作成したプログラムの妥当性を検証した。胸椎後弯角においては、作成したプログラムとスパイナルマウスとの間に高い相関関係が認められ、簡易かつ非侵襲的に対象者のアライメントを算出することに成功した。また国際学会The International Society of Electrophysiology and Kinesiologyにおいて報告(演題: Validity of a simple and non-invasive evaluation method for spinal alignment using the Kinect sensorにおいて研究成果を報告することもできた。 また令和二年度から三年度にかけては、これらの研究成果を発信するために、学会発表および学術誌への投稿を行うことができた。今後の展望として、臨床的汎用性の高い本プログラムを用い、地域検診や医療機関などで幅広い対象に姿勢と各疾患との関係性を明らかにしていきたいと考える。
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