研究課題/領域番号 |
19K19728
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大西 竜太 北海道大学, 保健科学研究院, 助教 (20824717)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 育児 / 子育て / 母親 / デジタルネイティブ / インターネット / 向き合う |
研究実績の概要 |
2021年度は、2020年度に行った2つの統計調査および1つのインタビュー調査の結果を分析し、結果の公表に向けた取り組みを中心に行った。 1. デジタルネイティブ世代の育児に関する統計調査(3歳児の母親に対する調査と乳児の母親に対する調査) 3歳児の母親の調査より、デジタルネイティブ世代の母親が、育児課題への対応において最も頼りにするのはパートナーであり、デジタルリソース(インターネットやアプリケーション)を頼りにする比重は人的リソース(パートナー、家族、友人・育児仲間)に比べ少ないことが明らかになった。また、育児課題への対応において人的リソースを頼りにすることは高い母親役割達成感と関連するが、デジタルリソースは関連しないことが示された。デジタルネイティブ世代の母親であっても、育児課題の対応のために重要なのは人的リソースであり、デジタルリソースは補完的な位置付けであるとともに、課題解決への貢献は限定的であることが示唆される。乳児の母親の調査より、SNSを通じた社会的比較に伴う感情の関連要因を検証し、対面での家族と友人からのソーシャルサポートが育児でのSNS利用が良い結果に繋がるために重要であることを示した。これらの結果について学会発表を行い、その後論文を作成し、現在査読中である。 2. デジタルネイティブ世代の育児への向き合い方に関するインタビュー調査 32名中、特徴的な語りが得られた13名の母親に対する分析を行った。デジタルネイティブ世代の母親にとってデジタルリソースは、育児に行き詰まりを抱える中で直面するストレッサーからの心理的症候を軽減する緩和効果があるものの、育児の行き詰まりそれ自体を解消する決定打ではなかった。デジタルネイティブ世代であっても、育児に向き合うために重要なのは、自身の自己肯定感や人的リソースであることが示された。現在、残り19名のデータ分析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
統計調査のデータ分析および結果の公表のために時間を要し、インタビュー調査の分析に十分な時間を捻出することができなかった。本研究は、尺度開発を目的としているため、インタビュー調査の分析を早急に進め、尺度原案を作成することが必要である。
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今後の研究の推進方策 |
1. インタビューデータより尺度原案を作成 インタビュー調査のデータ分析を進め、「デジタルネイティブ世代の育児への向き合い方尺度」の原案を作成する。 2. 尺度開発に向けた予備調査の実施 作成した尺度原案を用いて、幼稚園・保育園を利用中の母親100名を対象に尺度の予備調査を実施する。項目分析および因子分析により、項目の適切生を吟味し、本調査用の尺度項目を作成する。 3. 尺度開発のための本調査 尺度開発のため、オンライン調査により500名の母親を対象に質問紙調査を実施する。確証的因子分析により因子構造を確定し、信頼性および妥当性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
尺度開発のため予定していた質問紙調査を行うことができなかったため余剰が生じた。次年度は予定していた尺度開発のための質問紙調査を行うために経費を使用予定である。
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