研究実績の概要 |
本研究は、在日外国人母子が慣れないに日本社会の中で、十分なソーシャルサポートを得られずに孤立することで生じる、乳児へのボンディング障害を予防するために有効な支援体制を構築することを長期目的とする。この質的研究では、関係性規制理論(Lakey & Orehek, 2011)を基に実施しているため、本研究では、産前産後の在日外国人女性の社会支援に対する認識を明らかにすることを目的とした。2022年度には、論文執筆に必要な国内外の文献検討、及び在日外国人妊産婦を対象としたフォーカスグループ研究の質的データの分析を行ない、ソーシャルサポートに関するニードと課題ついて検討した。国内外の文献検討では、海外移住者の産後女性は非移住者の女性よりも、育児ストレスが強くボンディング障害のリスクが高いということが、グローバルな課題として注目されていた。さらに、社会支援の欠如が、移住女性の周産期メンタルヘルス障害の重要なリスク要因であることが、西欧諸国の研究を統合したシステマティックレビューで示唆されていた(Anderson et al., 2017; Falah-Hassani et al., 2015; Fellmeth et al. 2017; Stevenson et al., 2023)。本研究のフォーカスグループの結果からも、在日外国人妊産婦に対する社会支援が欠如していることが浮き彫りとなっており、今後、さらにデータ分析を進め、在日外国人妊産婦への社会支援とメンタルヘルスの関係性について考察を深め結果を報告していく。
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