褥瘡管理において、創傷管理の専門家である皮膚・排泄ケア認定看護師の介入は、介入がない場合に比べて、褥瘡の利用期間を短縮、コストの低減に効果がある。褥瘡を有する在宅療養者に対しては、訪問看護師と皮膚・排泄ケア認定看護師が同時に療養者を訪問し褥瘡ケアを行うことが診療報酬の対象となっているが、皮膚・排泄ケア認定看護師が所属する施設から療養者宅への移動に要する時間の確保が困難であり実施が広まらない、タイムリーな実施ができないといった問題がある。そこで本研究は、皮膚・排泄ケア認定看護師の褥瘡アセスメントならびにケアの助言を提示することで訪問看護師のケア選択支援を行うモバイルデバイスの開発(研究1)と訪問看護師がそのデバイスを使用することによる褥瘡管理の費用対効果の検証(研究2)を行うことを目的とした。 2021年度は、開発したアプリを用いて皮膚・排泄ケア認定看護師によって実施された遠隔コンサルテーションの臨床調査を解析し、遠隔であっても皮膚・排泄ケア認定看護師によるコンサルテーションは、コンサルテーションがない場合に比べて、褥瘡治癒を促進することを明らかにした。この際に療養者および訪問看護師から収集された情報ならびに皮膚・排泄ケア認定看護師が実施したアセスメント、ケアの助言の情報に基づいて、訪問看護師が収集可能な患者・褥瘡の情報から褥瘡のアセスメントならびにケア選択を支援するアルゴリズムの開発を行った。
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