研究課題/領域番号 |
19K19735
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
飯藤 大和 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (60723921)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | コミュニケーションロボット / 脳血流 / 視線 / 高齢者 / 看護 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は「最先端技術による看護ロボットの開発に向けた看護師-高齢者/認知症患者の相互作用分析」である。今年度の当初の目標は学会発表と論文投稿であったが、本研究は人を対象とした実験研究であり、新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い研究に参加する被験者が集まらず進捗が遅れている状況であった。 そのため今年度もデータ収集を継続しており、人とコミュニケーションロボットの対話について5名を超える被験者からのデータ収集が実施できた。また昨年度に収集したデータについては日本国内の認知行動療法の専門家が集まる学会において発表を行った。さらに今年度までに収集したデータを解析して、論文を国際的なジャーナルに投稿し4月に掲載される予定である。発表論文では、人の視線は人対人のコミュニケーション時と同様、コミュニケーションロボットの顔周囲に集中し、会話時には安静時より有意義に脳血流量が変化していることがわかった。 本研究の意義は現在まで暗黙知で行われてきたコミュニケーションを可視化し、その技術を形式知化することである。本研究手法で卓越した看護師の技術が可視化できれば、今後の看護師教育や患者に対する支援について重要な示唆が得られると考える。加えてコミュニケーションロボットを使用することの有効性や影響は数値的に明らかになっていない。本研究は脳血流と視線解析を併用することで人がコミュニケーションロボットと会話したときの影響について考察ができることは新規性があると考える。以上より、コミュニケーションロボットの病院や施設への導入に意義があるとすれば、日本における看護や介護人員不足による援助力の低下を改善しケアの質の向上に寄与できると考える。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、看護師-高齢者/認知症患者の相互作用分析を主として研究している。しかし、2019年以降、人を対象にした研究が新型コロナウイルス感染症の影響により困難となった。そこで学生や研究者の所属内の被験者を対象に研究を進めてきた。しかし、症例数は限られ十分なデータが収集できないため研究期間を延長した。特に本研究キーワードである高齢者や認知症患者を対象としたデータ収集は現在においても困難である。しかし、研究成果の公表である学会発表やジャーナルへの投稿は同時に進めており次年度も継続して成果発表を行う予定としている。以上のことより、やや遅れていると評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は成果の公表として学会発表と学術雑誌への投稿を行う予定である。加えて、新型コロナウイルス感染症の影響があった期間に十分にできなかったデータ収集も継続して行う予定としている。課題であった高齢者の被験者のデータ収集は施設や対象者の状況を把握しながら可能であれば実施する。 次年度は特に最終年度となるので、現在までに収集したデータの統合と比較をする解析を慎重に行い、意義のある解析結果を公表できるように努める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究では看護師-高齢者/認知症患者の相互作用分析を主として研究している。しかし、2019年以降、人を対象にした研究が新型コロナウイルス感染症の影響により困難となったため、次年度使用額が生じた。研究成果の解析にかかる費用、研究成果の公表として学会参加にかかる費用(参加費、旅費等)やジャーナルへの投稿費用に使用する予定である。
|