研究課題/領域番号 |
19K19737
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
白谷 佳恵 横浜市立大学, 医学部, 助教 (40724943)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | COPD / 結核 / 卒煙 / PRECEDE-PROCEEDモデル |
研究実績の概要 |
COPD・結核等肺病予防をめざし,卒煙にむけた要因を検討した.A地域在住または在勤の習慣的喫煙経験のある成人を対象に,PRECEDE-PROCEEDモデル(Green,2005)を基に,定量的調査(無記名自記式質問紙調査及び肺・身体機能測定調査),定性的調査(半構造化面接)を実施した.定量的調査の測定内容は基本属性(性,年齢,世帯構成等),身体・健康状態(BMI,最大握力,電子式スパイロメータによる1秒率及び%1秒量等),準備要因(心理的ストレス:K6,生活習慣:Breslowの7項目,社会的ニコチン依存度:KTSND等),環境(受動喫煙の状況,勤務・通勤時間,職場の組織風土:OCS等)であり,分析は現在も喫煙する者(喫煙者)及び卒煙した者(卒煙者)を比較した.定性的調査の面接内容は「卒煙に至った経験」等であり,分析は質的にカテゴリ化した.定量及び定性的分析により得られた結果を準備要因,強化要因,実現要因等へ分類した.定量的調査の対象者39人は52.3±13.8(22-76)歳,男性34人(87.2%)であり,喫煙者18人,卒煙者21人であった.卒煙者は喫煙者に比較し%1秒量が高く,循環器疾患を有する者が多く,生活習慣における朝食の欠食者が少なく,毎日飲酒する者が多かった(各々p<0.05).定性的調査の対象者4人は70.7±6.4(66-78)歳,すべて卒煙男性であった.卒煙に至った経験として,心理的余裕,身体症状の悪化,健康に対する価値観の変化,周囲のサポート,喫煙代替行為等が語られた.定量及び定性的分析結果から,準備要因として<喫煙関連疾患・症状の認識>,<健康に対する価値観>,<卒煙に関する知識>,強化要因として<専門職による相談>,<家族・近親者のサポート>,<仲間からの受入>,実現要因として<代替する楽しみへのアクセス>,<健康行動の自己効力感>等が抽出された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究協力依頼を行なうため横浜市金沢区福浦産業団地にて卒煙プログラムのためのネットワークを構築した。しかし、台風被害のあため、その後の研究協力依頼が困難であった。今後は、新型コロナ下の情勢も踏まえ、データ収集方法をインターネットベースで検討し、プログラムについても非対面式の内容を考えていく。
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今後の研究の推進方策 |
(喫煙者へのCOPD・結核等肺病疾患予防をめざし)卒煙プログラム開発への示唆を得るため,喫煙経験者の卒煙に至る要因を検討する.インターネット調査会社に登録されている30~40歳代の勤労者のうち,研究協力についての同意が得られた卒煙者及び喫煙者を対象に、無記名オンライン調査を実施する測定内容は、基本属性(性別,年齢,世帯構成,受療状況,教育歴)、準備要因(生活習慣(ブレスローの7項目),喫煙のリスク,卒煙の知識,健康観),強化要因,実現要因(ソーシャル・サポート(ソーシャル・サポート尺度12項目),卒煙方法の情報),行動とライフスタイル(現在・過去の喫煙状況,禁煙治療状況,他者との交流頻度(LSNS6)),環境(社会的ニコチン依存度(加濃式社会的ニコチン依存度:KTSND),勤務時間,通勤時間,就労状況(職場の組織風土:OCS),雇用形態,受動喫煙の状況),健康状態(BMI(体重及び身長),ニコチン依存度(TDS),ストレス(K6),喫煙関連疾患・症状),QOL(主観的健康感)等とする. また喫煙経験者のうち研究協力についての同意が得られた者へ半構造化インタビューを実施し,卒煙に対するニーズを記述し,喫煙者の心理を踏まえた卒煙の要素を検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
災害の影響のため、実施予定の調査ができなかった。今後は、新型コロナ下の状況を踏まえ、オンライン調査に切り替え、介入についてもオンラインベースの内容を検討していく。
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