研究課題/領域番号 |
19K19739
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研究機関 | 岐阜協立大学 |
研究代表者 |
井倉 一政 岐阜協立大学, 看護学部, 准教授 (60733011)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 開業保健師 / 精神保健分野 / 精神保健 / 公衆衛生看護活動 |
研究実績の概要 |
日本における精神疾患の生涯罹患率は24.2%であるとされ、諸外国と比較しても高く、精神疾患は人々の健康に大きな影響を与えている。これまでに、精神保健分野において、既存の行政保健師のサービスだけでは十分に支援が行き届いていない現状があることを指摘し、開業保健師活動の重要性を明らかにしてきた。しかし、精神保健分野の開業保健師の実践活動に必要な要素はいまだ明らかにされていない。本研究では、質的手法と量的手法を用いて、開業保健師が取り組む精神保健分野の実践活動に必要な要素を明らかにすることを目的としている。昨年度の文献調査では、保健師が開業する際に必要な内容として「起業への思い」、「資金の流れについて知る」、「実際の起業の手続きの方法」、「営業のスキル」、「基本的ビジネスマナー」などの重要性を明らかにした。 今年度は、実際に開業している保健師に対してフォーカスグループインタビューを実施し、開業保健師の実践活動に必要な要素を検討した。その結果、起業準備に関連して「開業の事務的手続き」、「開業形態(個人・法人)の選び方」、「金融機関の活用方法」、「活動のための保険」など、ビジネスマナーに関連して「社会人基礎力」、「メイク」、「笑顔」など、営業に関連して「営業方法」、「名刺交換」、「プレゼンテーション」、「SNSの活用」などの項目が重要である可能性が示された。 また、精神障害者を含む生活困窮者に対する支援で開業保健師が行ったクラウドファンディングの広報効果についての量的調査を行い、ソーシャルメディアを活用した積極的な情報発信や看護職への直接的な広報活動が重要である可能性を明らかになった。 今後は、より具体的に精神保健分野での開業保健師の実践活動に必要な要素に注目する必要があると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、予定していた打ち合わせなどがWEB開催となった。 調整等に予想以上に時間を要し、全体的な研究スケジュールがやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに行ってきた先行研究の文献調査と先駆的な取り組みの情報収集の結果、フォーカスグループインタビューの結果をもとに、専門家の協力を得て、プログラム案を試作する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、国内外の出張頻度が制限され、旅費の支出が減少した。一方で、対面会議に代わって、WEB会議を実施することに伴い、必要な機器を購入した。次年度においても、この傾向は変わらないと考えられるため、WEB会議やWEB調査に関連した消耗品や研究データの整理に関する人件費に差額を使用する予定である。
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