研究課題/領域番号 |
19K19740
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
小原 弘子 高知県立大学, 看護学部, 講師 (20584337)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 在宅療養者 / 褥瘡 / 訪問看護 |
研究実績の概要 |
今年度は、「難治性褥瘡への多職種在宅褥瘡ケアのマネジメントに向けたアセスメントツール」開発に向けて、難治性褥瘡への多職種褥瘡ケアに向けたアセスメントおよびケアのマネジメント内容について訪問看護師へのインタビューを行う予定であった。しかし、Covid19の感染拡大により、対象となる訪問看護師のリクルートが困難であり実施できなかった。そこで、一昨年度の実績である高知県下の褥瘡を保有する在宅療養者の実態調査結果をまとめ、「2019年度高知県内における褥瘡を保有する在宅療養者の実態調査」として高知県立大学紀要看護学部編にて発表した。この論文において、高知県下の在宅褥瘡患者の保有褥瘡について、保有期間は1年以上が最も多く、浅い褥瘡は治癒や軽快を繰り返しており、深い褥瘡は褥瘡保有期間が長期化していることを示した。また、褥瘡患者の血清アルブミン値は3.0±0.6g/dl(平均±SD)、ヘモグロビン値は10.8±2.6g/dl(平均±SD)であり、在宅褥瘡患者の多くは、高齢、日常生活動作障害、低栄養のような、加齢による身体変化や加齢性疾病により生じる症候が組み合わさった老年症候群の状態といえることを示した。さらに、必要なケアとして、高齢寝たきり患者に対する栄養管理が最も優先すべき対応であることも示した。また、この論文を、高知県下の在宅医療看護にかかわる101施設(訪問看護ステーションや在宅療養診療所)や、高知県下の医療機関に配布した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Covid19の感染拡大により、当初予定していた在宅療養者への皮膚生理学的指標値の収集が不可能であったが、一昨年度の実績である、2019年度に実施した高知県下の褥瘡を保有する在宅療養者の実態調査、本研究着手前に研究者が得たデータおよび先行研究により、在宅療養者における難治性褥瘡の治癒遅延要因の特徴はおおよそ明らかにすることができた。しかし、難治性褥瘡への多職種褥瘡ケアに向けたアセスメントおよびケアのマネジメント内容について、Covid19の感染拡大により、訪問看護師へのインタビュー調査が実施できておらず、一昨年に実施した2名の訪問看護師のデータしか得られていない。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、高知県下の褥瘡を保有する在宅療養者の実態調査を行い、在宅療養者における難治性褥瘡の治癒遅延要因の特徴をさらに明確化するためのデータを得る。実態調査については、7月に実施できる準備が既に整っている。訪問看護師へのインタビュー調査について、Covid19の感染拡大状況をふまえ実施する。ただし、リクルートが困難な状況が継続する場合、文献からのデータにて補完し、難治性褥瘡への多職種褥瘡ケアに向けたアセスメントおよびケアのマネジメント内容を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
在宅療養者および訪問看護師への調査ができなかったため、データ収集のための旅費や謝金が発生しなかった。また、学会もオンライン開催となったため、旅費が発生しなかった。ガイドラインとしてまとめたものを作成できなかったため費用が発生しなかった。次年度は、在宅褥瘡患者の実態調査、訪問看護師へインタビュー、ガイドラインとしてまとめたものの作成にて助成金を使用する。
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