2020 年度実施状況報告書

離島へき地における保健師確保に関する現状と課題

研究課題

研究課題/領域番号	19K19750
研究機関	関西医科大学
研究代表者	藤本悠関西医科大学, 看護学部, 助教 (70803310)
研究期間 (年度)	2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード	保健師 / 離島 / へき地 / ルーラルナーシング / 人員確保
研究実績の概要	本研究は、離島へき地の市町村が、保健師確保についてどのような困難さを持つか明らかにし、離島へき地で勤務する保健師自身から赴任に至る経緯について実態を明らかにすることを目的にしている。2019年度に調査の第2段階として保健師確保の現状と困難さについて明らかにするために沖縄県離島自治体A村におけるインタビュー調査を行った。2019年8月と2020年2月の計2回実施し、インタビュー対象者はA村で実際に勤務している保健師2名と保健師採用に携わった経験を持つ行政職員4名の計6名であった。この調査の結果について、テープ起こしを行い文字データに変換した。Nvivoを用いてインタビュー結果を意味ごとのまとまりに集約し、質的分析を実施して保健師確保の困難さに関わる要因を明らかにした。行政側職員としての抱える困難さとして、人員確保の難しさが挙げられるとともに、自身が一住民であることから「島に馴染んでもらえるか」「島外から来た保健師にどこまで介入してよいか」といった困難さを抱えていた。これは、働く環境と住む環境が完全に一致している離島ならではの困難さと言えるであろう。また、保健師側の抱える困難さとして、募集の有無が不明瞭であることや実際の住環境について情報が少ないことが上げられていた。一般に仕事を選択するときは、仕事内容について重点化すると考えられるが、離島の保健師では仕事内容のみならず自身の生活全般についても思いを馳せなければいけないという状況にあった。これもまた、労働環境と住居環境が一致している離島ならではの困難さであると考えられた。今後は、第3段階として明らかになった要因が広く全国に通じるものかどうか、アンケートを作成し、離島振興対策実施地域254島の自治体にて調査を実施することを予定している。
現在までの達成度 (区分)	現在までの達成度 (区分) 3: やや遅れている理由新型コロナウイルス感染症による影響もあり、質的分析を行った内容に関して、専門家とともに分析を進めることができておらず、インタビュー結果の分析が最終段階に至っていない。また、離島へき地の自治体に対してアンケート調査を行いたいと考えているが、そのアンケート内容の検討についても、自治体職員との連携が図れず、未実施となっている。
今後の研究の推進方策	インタビュー結果の分析に関して、専門家会議を開催し、分析結果の妥当性を吟味し「離島へき地における保健師確保の困難さ」を表す因子の明確化を行う。その結果を学会発表しつつ、第3段階として全国の254離島市町村を対象としたアンケート調査へと進めていくことを予定している。
次年度使用額が生じた理由	新型コロナウイルス感染症による影響もあり、質的分析を行った内容に関して、専門家とともに分析を進めることができておらず、インタビュー結果の分析が最終段階に至っていない。また、離島へき地の自治体に対してアンケート調査を行いたいと考えているが、そのアンケート内容の検討についても、自治体職員との連携が図れず、未実施となっている。そのため専門家会議の開催や自治体職員との連携を図るための旅費や人件費を計上できなかった。今後は計画に沿って、専門家会議の開催や自治体職員との連携を図るために使用する計画である。