研究課題/領域番号 |
19K19752
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
乗越 健輔 広島国際大学, 看護学部, 講師 (40638722)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 認知症 / 高齢者 / 就業 / 就業継続支援 / 質的研究 / モデル開発 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、認知症を有する65歳以上の高齢者(以下、認知症高齢者)の就業継続支援モデルを開発し、認知症高齢者に対する就業継続支援に関して示唆を得ることである。具体的には、認知症高齢者を対象とした就業継続に関するインタビュー調査の結果を踏まえて、認知症高齢者の就業継続に関する事象をモデル化し、就業継続支援のあり方を検討する。 2019年度に実施したことは、以下の3つである。 1.文献収集:認知症高齢者の就業状況を把握するために、国内外の認知症高齢者の就業に関する文献を収集した。 2.認知症高齢者が働く現場の視察:認知症高齢者の就業継続を可能とする場のあり方の検討を目的に、都市部のA施設(介護保険サービス「認知症対応型通所介護」を提供する施設、定員10名)において、そこを利用する認知症高齢者(以下、利用者)と一緒に、“働く”プログラムに参加した。利用者は、「午前と午後にどんな仕事をするか、食事はどこで何を食べるか」など、1日のスケジュールを利用者同士が話し合いながら決めていた【選択する機会】。また、利用者同士、笑顔や笑い声が絶えない状況の中で、温もりや優しさを感じながら共に過ごす様子が見受けられた【仲間の存在】。さらに利用者は、仕事を通じて地域住民と交流する機会を持っており、仕事が地域社会との繋がりを知覚する役割を果たしている印象を受けた【地域社会への波及】。以上、【選択する機会】【仲間の存在】および【地域社会への波及】の3つが、認知症高齢者の就業継続を可能とする場において、必要な要素の一部であることが示唆された。 3.倫理申請:2020年度に実施を予定しているインタビュー調査に関する倫理申請を行い、学内の研究倫理委員会の承認を待っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度に予定していた文献収集、認知症高齢者が働く現場の視察、倫理申請を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、文献検討と認知症高齢者を対象に就業継続に関するインタビュー調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画よりも解析用パソコンが安価に導入できたことにより、備品費が余った。余った分は消耗品の購入に充てたが、結果的には残金が生じた。2019年度の残金は、2020年度に実施予定のインタビュー調査に係る費用(ICレコーダーの購入、逐語録の作成など)の一部に充てる予定である。
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