研究実績の概要 |
熊本地震は、2016年4月14日に発生した前震震度7(M 6.5)と4月16日に本震震度7(M7.3)を引き起こし、大規模な災害であった。被害状況は死者120人(震災関連死を含む)、重軽傷者2,448人で、住宅被害状況は172,077棟(全壊8,848棟、半壊30,809棟、一部破損132,399棟、分類未確定21棟)であった。熊本地震が今までの地震と違うところ、余震(震度1以上)が頻発していることが特徴的であるといえる。気象庁のデータによると、震度1以上の余震は約6カ月間に4400回と報告されており、邦国の過去の地震と比較にならない程であった。「余震によって家が倒れるのではないか」と心配する住民も多く、車中泊や避難所での生活に見舞われる人は少なくない。前震・本震と大きな地震がくるかもしれないという不安やストレスは計り知れないものであったと想定できる。 先行研究では、特定の地区や避難所で生活される人を対象とした研究は多く見られる(内木ら、2015)が、就労者に焦点を当てた研究は少ない。 よって、本研究では、熊本地震で被災した就労者の健康被害の実態と教育プログラムを開発することを目的とする。第1段階として、アンケート調査にてストレスやPTSDがどの時期に軽減・増悪したのかを検証する。災害時のストレスは4年程度かかることも報告されている(桜井ら、2000)ことから、熊本地震発生から5年後まで縦断調査の予定である。現段階では震災から半年後、1年後の調査を終了している。第2段階として、企業毎にどの時期にカウンセリング等を実施したのか対処方法を調査しストレス等と関連性を検証する。第3段階として、インタビュー調査と文献から災害による就労者のストレス要因を抽出し、教育プログラムを作成し、信頼性・妥当性を検討し修正を加え完成度の高いものにする。
|