研究実績の概要 |
本研究の目的は、次の3点である。①ケアの経験を積んだ訪問看護師が捉える終末期がん患者の、死亡前2~3か月に起こる身体的変化を捉えるための観察項目および判断内容を明らかにする、②終末期がん患者の、死亡前2~3か月に起こるセンサリング技術を用いて得られる「生体行動情報」(客観的指標)、看護師の観察事項や判断を含めた「実践情報」(主観的指標)を収集する、③客観的指標と主観的指標を統合し、「予後予測指標」を確立する。目的を達成するために、以下を実施した。 当初の計画では、死亡前2~3か月に起こる患者の生体情報について前向きに計測を行う予定であったが、新型コロナウィルスの感染予防を考慮し、既に情報が得られている特別養護老人ホームの療養者からの情報を後ろ向きに検討していく計画に変更し実施していくこととした。 2016年1月1日以降に協力の得られた日本国内5か所の特別養護老人ホームに入居した高齢者1,783名の電子カルテデータの分析から、予後予測指標の一つと考える食事摂取量減少のタイミング明らかにしたうえで、現場で働く看護師および介護士からインタビュー調査を行い、療養者の死亡前の状況についての追加情報をヒアリングした。 これまで得られた終末期療養者の予後予測の判断根拠となる主観的指標の要素、ヒアリングにて得られた情報および電子カルテ情報を突合し、中長期的な予後予測指標の一つである食事摂取量の減少には4つのパターンがあることが明らかになった。
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