研究課題/領域番号 |
19K19760
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
湯本 淑江 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 助教 (00755184)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 認知症 / 終末期 / 尺度 / 症状マネジメント |
研究実績の概要 |
2019年度の計画として「認知症終末期の症状マネジメント尺度」案の聞き取り調査を行い、精度向上させるとともに尺度案の内容的妥当性について確認すること、本調査の一部について開始する予定であった。該当年度には聞き取り調査のための倫理審査申請準備を行った。さらに海外における認知症ケアの実態について、北アイルランドの研究者とのWeb会議を通じて情報収集を行った。 今後の展開として、まず研究が中断されていたため着手できていなかった尺度の項目案の聞き取り調査を進め、項目案の確定と内容的妥当性を確認する予定である。聞き取り調査は活発な意見交換のため現地に出向いて対面方式で行う計画を立てていたが、昨今の新興感染症の状況によっては、非対面で行えるような計画への変更を検討する。聞き取り調査により項目案が確定された際は、国内外の学会、学術雑誌にて成果を発信していく予定である。尺度案については、項目の信頼性・妥当性の検討のための本調査をフィールド調査、郵送調査で行う予定である。この本調査についても、特にフィールド調査は、高齢者施設を対象施設とし、高齢者との対面にてデータ収集を計画していたため、その方法を感染防止を最優先に見直していく必要がある。 本研究では海外における既存の症状マネジメント尺度項目に加え、家族の状態が高齢者の症状の一部として項目案に加わる予定である。家族の状態が検討されることは、高齢者の終末期に家族が深く関わる日本の文化を捉えた尺度となる可能性がある。また、国際的にも安寧な最期を迎える上で重要な項目である可能性もあり、新たな尺度を提供できる可能性がある。広く活用されるよう、学会、学術誌での公表に加え、ホームページなどの媒体での公表を検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
出産に伴う産前休暇、産後休暇、育児休暇取得のため2019年5月から2020年度3月まで研究を中断した。また新型コロナウィルス(COVID-19)感染流行に伴う研究活動縮減措置にて計画に大幅な遅延が生じている。
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今後の研究の推進方策 |
聞き取り調査は、認知症終末期ケアを行っている施設の看護師・介護士活発な意見交換のため、現地に出向いて対面方式で行うことを予定していたが、COVID-19に関する政府の方針、また高齢者施設の感染対策の同行を見ながら、直接的な対面式調査の他、オンラインによる仮想面接調査または、質問紙などを用いて対面を避けることのできる方法で行う計画も検討し、再計画する。聞き取り調査終了後は、信頼性の検証/妥当性の検証を郵送調査とフィールド調査の2つの形態にて計画している。(【本調査】:地方区分ごとに(層化)無作為抽出した、介護療養病床、特別養護老人ホームそれぞれ500施設、1,000施設程度へ郵送の上、患者1名について評価をしてもらう。【フィールド調査】:数か所の高齢者施設で、終末期にあると判断される同一の患者に対し患者をよく知る看護職と介護職計2名の評定者で項目案の項目一つ一つについて観察頻度を確認する。)信頼性/妥当性の検証についても、COVID-19の動向を見ながら、必要時郵送調査のみ、または感染対策を講じた上でのフィールド調査を行う。状況に応じて、計画の変更を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度に聞き取り調査と一部の本調査を予定していたが、産前・産後休暇、育児休暇取得(2019年5月~2020年3月)のため、研究の中断による予算執行停止期間があるため、次年度使用額が生じている。 計画は1年度繰り越され、2020年度に聞き取り調査を行い、現在リストされている項目について精度向上させるとともに「認知症看取りにおける症状マネジメント尺度」の尺度項目案(以降「項目案」とする)の内容的妥当性について確認する。聞き取り調査は活発な意見交換のため、現地に出向いて対面方式で行うことを計画していたものの、新興感染症の感染防止対策のため、非対面式で行うことも検討している。そのため当初予定していた、旅費などに加え、非対面で行うための設備費などに予算を使用していく可能性がある。また、2020年度に本調査として郵送調査とフィールド調査の一部を行っていく予定であるが、特にフィールド調査については、高齢者施設でのデータ収集を予定しているため、新興感染症の影響を鑑み、感染防止を最優先とした計画への変更が必要になると考えている。
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