研究課題/領域番号 |
19K19762
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
木嶋 彩乃 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (70759670)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ネグレクト / 児童虐待 / 虐待予防 / 保健師 / 介入 / タイミング |
研究実績の概要 |
児童虐待を防ぐ予防的な支援を行う立場にある自治体保健師の9割は、介入方法やタイミングの困難さを抱いている。本研究では、ネグレクトのハイリスク家族に対する保健師の「介入するタイミングを図る技術」を明確化することを目的としている。 2019年度は文献検討とネグレクト家庭の支援経験のある保健師に対するインタビュー調査を予定していた。 子どもネグレクトに対する介入の現状・課題や研究の動向から研究の示唆を得るため、海外におけるネグレクトに対する介入プログラムに関する文献検討、関連学会に参加し情報収集を行い、最新の知見を得るよう努めた。 文献検討の結果、研究対象の選定基準は薬物依存、若年、知的障害、貧困、各種サービス利用者、児童保護サービスの履歴など複数組み合わせられていた。また同じプログラムでも対象を絞り検証したものや、内容が治療と子育ての両面に介入するもの、経済的な独立を支援するものなど様々であった。介入効果の評価指標は、親権の保持状況、通告状況、サービス利用状況、メンタルヘルス、育児態度、虐待リスク、中毒の深刻度、経済的困難、プログラムの満足度等、子どもの発達・行動等であった。 子どもネグレクトの背景にある複合的なリスクに対し、介入方法や介入後の評価方法も多様であることから、ハイリスク家族の多様性やリスクの重複を考慮した上で研究を進めていく重要性が示唆された。それを踏まえ、インタビューガイド、データ収集、分析方法を検討し、計画書の作成を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度は保健師を対象とした調査も実施する予定であったが、文献検討により子どもネグレクトのハイリスクの家族の多様性やリスクの重複を考慮した研究の必要性が示唆されたことから、インタビューガイドの精錬等に時間を要した。また、2020年度に研究者の異動が予定されていたため、倫理審査委員会への申請が困難となった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は調査候補地について情報収集と調整を行い、研究計画書を倫理審査委員会に提出する予定である。ネグレクトのハイリスク家族の支援経験のある保健師に対し半構造的面接を行い、得られたデータから「アセスメントや支援をする機会」、「機会の作り方」、「認識や判断」を視点に分析を行い、『介入するタイミングを図る技術』を明らかにすることを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度に予定していた子どもネグレクトのハイリスク家族の支援経験のある保健師に対するインタビュー調査の実施が遅れ、準備が完了していないため、費用を繰り越すこととなった。インタビュー調査旅費、対象者への謝礼、逐語録作成、データ保管費用として使用する予定である。
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