2020年度までの保健師へのインタビューや文献検討により、介入するタイミングには、様々な背景が関係しており、判断の根拠を明らかにしていく必要性が示唆された。介入判断には、対象家族のリスクアセスメントが必要であり、重点的に行われてきた背景があるが海外ではリスクアセスメントと介入の意思決定は別物であり、区別するよう指摘されていた。支援者が具体的な支援に結びつける過程や介入の意思決定までには、ケース要因の他に、外的要因、支援者である意思決定者や組織の要因の存在があることが明らかとなった。 2021年度は、児童虐待に関するアセスメントツールについて文献検討を行い、使用目的や内容の構造を類別、分析し、意思決定のフレームワークとの関連も検討した。その結果、支援者の状況や特徴を明確にできるアセスメントツールの必要性が示唆された。支援者側の特性をアセスメントすることは、保健師が介入するタイミングを図るための一助となることが考えられる。海外では様々な要因の存在の指摘や枠組みはあるものの、具体的な中身については十分に明らかにされていない。また、日本の文化的特性から海外とは異なることが考えられた。 2022年度は支援者側の特性に関する内容や項目について、海外の文献から抽出・整理を行い、過去のインタビュー結果を踏まえ、項目の検討を行った。支援者側に関しては保健師に焦点を当て、項目の内容は、保健師自身のスキルや価値観・態度、保健師が所属する職場、ネグレクト対応において保健師が連携・協働する関係機関に関する内容に整理された。内容の妥当性に関して保健師にインタビューにより意見を伺い、追加・修正を行い内容を洗練させることができた。
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