研究課題/領域番号 |
19K19763
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研究機関 | 熊本県立大学 |
研究代表者 |
松本 千晴 熊本県立大学, 総合管理学部, 准教授 (30452874)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 難病 / 患者会 / 災害 / 地域 / ネットワーク |
研究実績の概要 |
本研究の最終目的は、「地域難病患者会を核とした災害時にも対応できるネットワークのあり方を明らかにすること」である。 今年度は、まず「熊本県内の地域難病患者会ごとの熊本地震における経験および災害に対する認識を明らかにする」ために、個別インタビューを実施した。研究対象者には、①地震でどのような経験をしたか、②地震でどのような支援が必要だと感じたか、③地震後、災害に対してどのように考えるようになったか、④地域難病友の会に所属していたことで、地震時(後)に助かったと感じることはあったかを、半構成的面接で実施した。 今年度の研究対象者は、震災の被害が大きかった圏域の地域難病患者会に所属する者であった。インタビューにより、対象者は、①震度7の地震を2回も経験したことによる精神的不安の増加、薬を得るための被災後すぐの病院受診、ストレスによる体調の悪化を経験していた。また、②徒歩圏内で難病患者も避難できる場所の必要性を感じていた。地震を経験し、③災害への備えとしては、一般的な防災セットに加えてお薬手帳を常に持ち歩いていた。また、災害は自分の備えだけでなく誰かの助けもないと乗り越えられないと考えていた。最後に、④地域難病患者会に参加し、様々な病気を抱える人と接することで、病気や障がいがあることにこだわらず、自分にできることを考えるようになったとの語りが聞かれた。 今回のインタビューにより、難病患者特有の経験や災害に対する認識があることが明らかになった。今後は、震災の被害が小さかった圏域の地域難病患者会に所属する者にもインタビューを実施し、災害に対する認識の違いを明らかにしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響を受け、グループインタビューから個別インタビューへ切り替えたが、予定していた対象者すべてにインタビューを実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
「熊本県内の地域難病患者会ごとの熊本地震における経験および災害に対する認識を明らかにする」ために、引き続き個別インタビューを実施する。研究対象者が難病患者のため、安全(感染予防)に細心の注意をはらい、対象者の希望に合わせながら、対面、Web、電話、いずれかでのインタビューを実施していく。また、「熊本県内における地域難病患者会を核とした災害時にも対応できるネットワークのあり方を検討する」ためのグループディスカッションにおいても、県内の各地域難病患者会の代表者および難病相談支援センターのスタッフ等を対象として、Webで実施予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
対面でのインタビューを実施しなかっため、旅費の執行がなかった。 研究対象者への謝礼については、2019年度に購入したQUOカードを使用したため、今年度は追加での購入はなかった。 2022年度以降も、新型コロナウィルス感染拡大状況に注視して、計画的かつ確実に研究を進める。
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