本研究の最終目的は、「地域難病患者会を核とした災害時にも対応できるネットワークのあり方を明らかにすること」である。 今年度は、「熊本県内における地域難病患者会を核とした災害時にも対応できるネットワークのあり方を検討する」ために、熊本県内の地域難病患者会の代表者3名および熊本県難病相談支援センター職員を研究協力者とし、グループインタビューおよびグループディスカッションを実施した。グループインタビュー・ディスカッションの結果、①熊本地震およびCovid-19により希薄化した患者会同士のネットワークの再構築の必要性、②保健所だけではなく、市町村とのつながりが重要であることで、意見がまとまった。また、今回、グループインタビュー・ディスカッションを実施したことで、地域患者会の代表者が顔を合わせる機会を得ることができ、患者会代表者同士の意見交換の場を設けることが、ネットワーク構築のためには有効であることも明らかとなった。 研究期間全体を通じて実施した研究の成果としては、個別インタビューより、①難病患者自身の防災意識の向上、②避難所での難病患者への配慮の必要性、③福祉避難所の周知徹底、④患者自身からの住民や自治体への情報開示による非常時の支援の確保等の必要性があげられた。また、グループインタビュー・ディスカッションより、上記①~④の課題を解決していくためには、難病患者会同士がネットワークを組み、防災に関する情報共有や関係機関への働きかけを行うことが有効であることが考えられた。
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