世界の死因第⼀位である⾮感染性疾患(以下NCDs)は⻄アフリカのコートジボワールにおいても死因の31%を占め健康課題の一つとなっている。同国最⼤の都市アビジャンでは、2005年のNCDsに関する調査STEPSにより、⾼⾎圧と肥満・過体重の2つをはじめとするNCDsリスクが極めて⾼いことが警告された。しかし、積極的な対策はとられておらず、その後の実態も明らかになっていない。そのため、本研究では同国におけるNCDs予防策への貢献をめざし、肥満とヘルスリテラシーの実態を明らかにすることを目的とした。研究計画当初は、高血圧と肥満の2つの疾患を対象としていたが、肥満を改善することで高血圧の改善にもつながること、容易に測定が可能な体重を指標に健康プログラムを実施できることから、肥満に焦点をあてることとした。 アビジャン内の代表的な中規模市場であるA市場を選択し、悉皆調査を行った。調査は身長・体重測定、および体重に対する認識、体重管理のための行動について質問した。またヘルスリテラシー測定についてはHealth Literacy Questionnaire(以下HLQ)を使用した。結果は対象市場の女性商人においては、肥満者は30%、過体重は47%と7割以上が過体重・肥満であった。体重を過小評価している者は肥満者では82%であった。分析の結果、肥満であることとHLQの9領域のうち2領域が関連していることが示された。また肥満者は正しい体重認識がないこと、食事を3回以上/日摂取していないことが明らかになった。 本結果より、アビジャンにおいて女性を対象とした肥満対策は喫緊の課題であることが確認された。本研究で得られた結果は、アビジャンにおける肥満対策を検討する際の知見となることが期待される。 2023年度は収集したデータの分析および論文執筆を行い、英文誌へ投稿した。
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