研究実績の概要 |
健康寿命の延伸の為,効果的な介護予防事業が期待される.その為,認知症や転倒に関する的確なスクリーニングが重要であると考える.近年,認知機能の1つである実行機能は,歩行の調節にも関与することが報告されており,高齢者の実行機能低下は,転倒との関連性に深く関与する.本研究は、1)臨床応用可能な小型センサと実行機能に関わる課題を用いて、課題中の立位姿勢制御を定量的評価すること,2)実行機能に関わる課題中の立位姿勢制御の測定値について,転倒予測指標として利用可能であるかを検証することである. 初年度,研究目的1)に当たる臨床応用可能な小型センサと実行機能に関わる課題を用いた課題中の立位姿勢制御を定量的評価方法の準備および予備実験を開始した.対象者は若年成人とし,実行機能の働きを反映する課題を用いて,課題反応時間から実行機能の指標を測定した.この結果については,先行研究に準じて,難易度の高い課題に対する反応時間と難易度の低い課題に対する反応時間の差から,実行機能の指標を算出可能とした. また,実行機能課題中の立位保持および立位足踏み課題を実施し,同時に下肢の関節運動量を計測するため,小型センサーによる計測と計測値から定量的な関節運動量の算出を試みた.計測方法の検証については,計測時間や関節毎の計測値について,補正,変換を行う必要性が生じているため,検討を継続していく方向である. 一方,2月初旬より計測対象者との接触が不可能となり,目的の予備実験進行が停止した状況にある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究機器の準備,若年成人を対象とした予備研究を繰り返した結果,計測条件設定や計測値から関節運動量を算出する方法を検討,構成を確立する段階に近い.しかし,2月初旬からコロナウィルスの影響により対象者との非接触を余儀なくされており,計測およびそのリフレクションができない状況が継続している.これらを背景に当初予定よりも研究進行が遅延している状況にある.
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今後の研究の推進方策 |
まず,これまでに採取された課題なしの立位姿勢制御と実行機能課題中の立位姿勢制御における計測値を補正, 積分変換し,関節運動量の傾向の違いを検証する.それらの工程を踏まえて,計測方法の構成を確立する. 立位の課題については,静止立位と足踏み課題を検証しているが,実行機能課題に対する脳関連領域の影響についての反映しやすさを検証する必要性がある. 計測被験者については,現在、予備計測の段階にあるが,コロナウィルスの影響が落ち着いた状況を鑑み,研究施設における計測再開を目標としている.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度,コロナウィルスの影響により実施できなかったことから,計測における人件費の未使用により,残高が生じている.また,関連学会における情報収集予定が急遽,中止となり旅費費用についても,未使用となり残高が生じている. 差額については,次年度以降の使用計画へスライドさせ,人件費,学会発表等への支出に使用する予定である.
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