研究実績の概要 |
日本に定住している多様な出自や文化的習慣を有する人々が顕在化し、さらに、日本人とは異なる集団に属する人々の高齢化がすすんでいる。特に中国帰国者や定住コリアンコミュニティの高齢化は顕著であり、今度はフィリピンや中国、ブラジルをルーツとする人々もこれに続くことが予測される。これらのことから、多様な出自や文化的習慣を有する中高年者の生活習慣病重症化に関連する要因を明らかにし、具体策が提示されることが今後さらに必要となる。 2021年度は、保健医療福祉に関わる専門職者のcultural competencyについて、文献検討を試みた。文献検討はデータベースにPubMedを用い、2011年から2021年までの過去10年間の文献を検索した(キーワード:cultural competent healthcare, culturally responsive care, immigrant, ageing, & elderly)。文献検討の結果、高齢の移民に対する保健医療福祉に関わる専門職者のcultural competencyには、対象者への言語面での配慮のほか、対象者の抱える歴史的、社会的、文化的な立場や家族関係への配慮が含まれていた。文献検討の結果より、日本でも、保健医療福祉に関わる専門職者が外国にルーツをもつ高齢者の文化的側面にも注意を払うことで、サービスの円滑な利用につながることが示唆された。 2022年度は、これまでの文献検討の結果をふまえて、多様な文化的背景を有する複数の中高年者を対象にインタビュー調査を実施し、多様な文化的背景を有する中高年者の生活習慣病の重症化に関連する要因について検討する。
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