研究課題/領域番号 |
19K19778
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研究機関 | 東京医療保健大学 |
研究代表者 |
山本 由子 東京医療保健大学, 看護学部, 准教授 (00550766)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ライフレビュー / 認知症高齢者 / パーソンセンタードケア / 自伝的記憶 |
研究実績の概要 |
2019年度は、研究目的①のライフレビューの活用方法に関する実践等のレビューおよび予備調査を始めてアプリケーションソフトの構想につなげることに主眼を置いた。 ライフレビュー、認知症、パーソン・センタード・ケアに関する国内外の文献を検索し、24文献を抽出した。そのうち9文献についてRevMan5を用いて投稿に向けて英文校正を進めている。インフォームド・ケアの定義については概念分析を進めている。2019年10月21~22日には、オーストラリアで開催された19th Successes and Failuers Telehealth Conferenceに参加し、インターネットを用いた療養者からのデータ収集とソフトウェア開発について海外の研究者らによる実践と発表を聴講し、看護学領域では未だ充足されていない状況と必要性について知見を得た。 研究成果の発表では、著書としてライフレビューに関する実践より、北林陽児氏との共著として、「認知症の人と一緒に作るアルバム自分史-症状が緩和され笑顔が戻る魔法のケア-」(翔泳社, 128ページ, 2019年10月初版)を出版した。この本に基づいた取り組みについて、認知症高齢者を抱える家族から非常に役立ったとの感想を受け取っている。また、高齢者施設でのライフレビューにおけるスタッフの取り組みを、第6回地域回想法サミットにおいて「認知症高齢者へのライフレビューにおける効果:介護スタッフへの質問紙調査から」として示説発表した(11月16~17日、宮崎市)。学会での意見交換から、認知症の人をケアする家族・支援者の気づきを促す意義について高い評価を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度後半より、目的①のライフレビューの活用方法に関する実践等のレビューおよび予備調査を始めてアプリケーションソフトの構想につなげる、にあたり、高齢者施設2か所に協力を依頼し、実際にアプリケーションソフト開発のための予備調査を進める予定であった。しかし、2020年2月後半より、COVID-19対応により施設内に入ることが出来ない状況となった。特に本研究は高齢者を対象としているため、感染予防を優先し、対面での調査は延期することとした。これにより、実際のライフレビューにおけるソフトウェアの開発と使用について進行が遅れている状況となった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、2019年度のシステマティックレビューの論文投稿を完了することを目指す。さらに、構造的ライフレビュー理論とインフォームド・ケアの定義について概念分析を進めることとする。また、実際の高齢者施設での予備調査が未実施であるが、業者を選定してアプリケーションソフトの開発を進めたい。ソフト開発においては、臨床現場での実施に基づく意見を必要とするが、まずはこれまでの知見や研究から、介護や看護の専門職に向けたマニュアル作りを進め、COVID-19対応の状況をみて、対象者と協力先を考慮して研究を進めていきたい。
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