プログラムの量的効果の評価では、統計学的に反すうの有意な軽減は示されなかった。しかし、否定的な認知の有意な軽減効果が示された。さらに有意ではなかったが抑うつ得点の低下が示された。加えて質的効果の評価として参加者の記載したテキストデータに着目すると、頻出する名詞は、呼吸(460回)、静か(219回)、雑念(211回)であった。動詞は、できる(386回)、行う(149回)、思う(126回)、行く(106回)、落ち着く(62回)が出現した。形容詞は、良い(134回)、しやすい(29回)、痛い(28回)が出現した。共起キーワードに着目するとT3-T5(RENプログラム終了後から終了3ヶ月後)の記述はT1-T3(RENプログラム介入前から介入終了時)に比べて「しやすい-部屋-静か」、「良い-姿勢-気分」との関連が強まった。 つまり参加者は、T1-T3で雑念が生じることや、足の痛さといった困難に「気づき」ながら、「(マインドフルネスが)できる」「良い」と表現している。また、ワードクラウドを比較すると、プログラムは早い段階から参加者がマインドフルネスを「自宅で取り組みができる」と感じられる内容を伝えることが可能であり、参加者にとってプログラムの継続は、集中や落ち着くといった「良い」体験と意味づけされていたのではないかと推察された。 マインドフルネスの重要な要素の一つとして「気づく」ことがある。RFNプログラムは参加者に自身の思考や、思考による影響に「気づく」ことを促した結果、参加者は自身の思考を客観的に眺め、不快な思考があったとしても、思考との付き合い方をより適応的に行えるようになった可能性がある。 総合すると、RFNプログラムは精神障害をもつ人にマインドフルネス実践の方法の理解を促し、精神障害者が自宅でもマインドフルネスを安全に実施し気付きが促されるものであると考える。
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