研究課題/領域番号 |
19K19782
|
研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
戸田 淳氏 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (00804618)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | フレイル / 高齢者 / 認知症予防 / 認知課題 / 運動 |
研究実績の概要 |
認知症予防と有酸素運動との関連は多く指摘されている。しかしフレイル高齢者や車いす利用者へ有酸素運動を推奨するには限界がある。そこで本研究では、軽運動と認知課題が脳機能に与える影響を明らかにし、フレイル高齢者が座位にて行える新たな認知症予防課題を開発することを目的とする。本研究では、基礎的研究として健常者を対象に、軽運動(ハンドサイクル)、認知課題(呼称・逆呼称課題)を実施しfNIRSを用いて前頭連合野の脳血流について検討した。現在までに20~30歳代の被験者15名(男性5名、女性10名)のデータ収集を終えている。 また身体フレイルで生じる認知機能障害の特徴を捉えることを目的に2つのフィールド調査を実施した。 1.身体的フレイルと認知機能との関連:地域の通所施設を利用した75歳以上の高齢者46名(平均年齢83.2±5.1歳)対象とし、対象者を身体的フレイル群と非フレイル群に分類し、身体的パフォーマンス評価、認知機能評価を実施した。その結果、身体的フレイル群では、非フレイル群に比してTimed up and go test (TUG)、Trail Making Test (TMT)A、Bで有意な低下を認めた。また身体的フレイル群では、TUGとTMT-Bとの間で有意な相関を認めた。この結果については、関連する雑誌へ論文投稿の準備を進めている。 2.地域高齢者および認知症者の語想起課題の特徴:軽度~中等度のアルツハイマー病患者(ATD)患者10名と健常高齢者18名を対象として言語流暢性課題と意味記憶障害との関連性について調査を行った。この研究成果は、言語聴覚研究18巻1号に掲載された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
健常者を対象にしたfNIRSを用いた研究は、COVID-19の影響によりデータ収集が計画よりやや滞っている。地域高齢者を対象にフィールド調査の結果は、現在論文投稿の準備を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は得られたfNIRSデータの解析を行い、脳活動と呼称・逆呼称課題の成績、呼称・逆呼称の反応時間との関連について検討する。得られた研究成果は、関連学会の発表、学術雑誌への論文投稿を通して発信する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により、予定していたデータ収集および学会がWEB開催となり、旅費の残金が生じた。令和3年度以降は、研究成果発表のための旅費、英文雑誌への投稿費用などに充てる予定である。
|