我が国で高齢化が進む中、高齢者施設に勤務する看護師が高齢者を看取る上で大きな役割を担っている。特に高齢者に死が迫った場合、看護師がそれを判断して医師に報告する。申請者は看護師が約1か月前に高齢者の死を察知していることを明らかにした。約1か月前に高齢者の死を察知することは、高齢者本人、その家族にとって残された時間を有意義に過ごすために重要となり、また看取りへ向けた準備を整えることができる。しかし、この結果は介護老人福祉施設に勤務する看護師20名のインタビューを質的記述的に分析することにより見い出された結果であり、定量的な評価はなされていない。したがって、本研究の目的は申請者の研究から見出された結果をアセスメントの指標として実践可能であるかについて、統計的な評価をしていくことである。そして、その結果に基づき高齢者の死の約1か月前を判断するアセスメント指標の尺度開発を目指す。 本研究は、1)高齢者の死の約1か月前に出現する事象の構成概念の検討、2)質問紙票の作成の検討および予備調査、3)高齢者の死の約1か月前を判断するアセスメント指標の尺度開発を目的としている。 2019年度は看護師によって観察された高齢者の死の約1か月前に出現する事象の構成概念を文献より概念分析の手法を用いて検討した。また、介護老人福祉施設に勤務する看護師20名のインタビューを質的記述的に分析することにより見い出された結果を再検討し、高齢者の約1か月前に出現する事象のカテゴリーを精選した。
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