脳卒中後の運動麻痺には運動療法が効果的だが,その作用機序は未解明である.脳可塑性の全貌を目指して本研究では,脳内抑制物質であるGABAが発達期や障害時においてはKCC2の働きを介して興奮性に作用する仕組みに着目し,脳卒中モデル動物を用いて運動療法の効果ならびにKCC2の変動を解析した.その結果,機能回復は運動療法により促進されるが,治療成績は運動様式に大きく左右された.また,病巣周辺におけるKCC2は脳出血発症後に著しく減少し,経過とともに回復した.以上の結果より,病態に応じた適切な治療種目の選択が機能回復の予後を大きく左右すること,機能回復の課程にはKCC2変動が関与する可能性が示唆された.
|