我が国を始めとした先進国においては,高齢化や疾病構造の変化に伴い慢性的な痛みを抱える人々が増加しており,その解決は喫緊の課題である。心理社会的な介入方法としてガイドラインで推奨される認知行動療法の効果をより高めるため,近年不安症やうつ病等の精神疾患で効果をあげている,症状発現時に抱えるイメージの書き直し技法を,慢性疼痛患者用に手続化し実行可能性を確かめた。また,疼痛時イメージの内容や機能を探索的に明らかにし,書き直しによってイメージ保持時の体験が改善する可能性を示唆した。一方,慢性疼痛保持患者に対するイメージ書き直しの影響に個人差が大きい可能性,手続きを洗練させる必要がある可能性を示唆した。
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