• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

肩関節後方関節包の力学ストレス可視化・定量化の試みと効果的な運動療法の考案

研究課題

研究課題/領域番号 19K19797
研究機関札幌医科大学

研究代表者

飯田 尚哉  札幌医科大学, 保健医療学部, 研究員 (70593490)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード超音波剪断波エラストグラフィ / ストレッチング / 投球障害肩 / 肩後方タイトネス / バイオメカニクス
研究実績の概要

肩関節後方関節包が正常に比して硬い状態すなわちタイトネスは野球選手に特徴的で、投球障害肩との関連が深い。タイトネスに対する治療・予防として臨床場面ではストレッチングが用いることが多いが、これまで後方関節包に受動張力が強く加わる効果的なストレッチング肢位については一定の見解が得られていなかった。
これまで我々は、超音波剪断波エラストグラフィを用いた弾性計測により、力学ストレスの一つである関節包の受動張力を非侵襲的に推定評価可能であることを報告した(Iida et al., J Biomech, 2020)。この知見に基づき、我々は未固定凍結人体標本9肩を用い、様々なストレッチング肢位における肩関節後方関節包の受動張力を超音波剪断波エラストグラフィで評価し、効果的なストレッチング肢位を検証した。ストレッチング肢位を正確に規定するため、三次元電磁気センサーで関節角度を計測した。ストレッチング強度はプッシュプルゲージを用いて全ストレッチング肢位で統一した。結果、後方関節包中部に受動張力が強く加わる肢位は肩甲骨面挙上30°位での内旋と肩挙上60°位での水平内転、後方関節包下部に受動張力が強く加わる肢位は肩屈曲30°位での内旋であることが示された(Iida et al., J Shoulder Elbow Surg, 2021)。本研究では、生体での計測と同じく、肩関節後方の筋や皮膚をすべて残存させた状態で後方関節包の受動張力を評価した点が新規的な点である。加えて、屍体肩を用いたためストレッチングの強度や関節角度を正確に規定できた点が強みである。今後は、これらのストレッチング肢位が野球選手にも有効か検証する必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

屍体を対象とした実験は予定通り進捗し、完了した。しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、大学内でのヒトを対象とした実験が制限された時期があった。これにより、野球選手を対象とした実験の開始が大幅に遅れた。

今後の研究の推進方策

これまでの研究結果から、超音波剪断波エラストグラフィによる関節包の受動張力評価の妥当性と、屍体肩における後方関節包に対する有効なストレッチング肢位を示すことができた。今後は野球選手を対象に、上述したストレッチング肢位で後方関節包に受動張力が加わるのか、ストレッチング後にタイトネスが改善するのかを検証する予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、参加予定だった学会が延期・中止となった。野球選手を対象とした実験の開始が大幅に遅れ、データ解析に至らなかった。2021年度は学会参加費に加え、データ解析に必要な環境整備費、英論文校正費に充てる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Effective stretching positions for the posterior shoulder capsule as determined by shear wave elastography2021

    • 著者名/発表者名
      Naoya Iida, Keigo Taniguchi, Kota Watanabe, Hiroki Miyamoto, Tatsuya Taniguchi, Atsushi Teramoto, Masaki Katayose
    • 雑誌名

      Journal of Shoulder and Elbow Surgery

      巻: 30 ページ: 1186-1195

    • DOI

      10.1016/j.jse.2020.08.021.

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi