研究課題/領域番号 |
19K19799
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研究機関 | 産業技術大学院大学 |
研究代表者 |
大久保 友幸 産業技術大学院大学, 産業技術研究科, 助教 (10791494)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 認知症 / 人間支援システム / 深層学習 / 視線計測 / 生体情報処理 / 幻視 |
研究実績の概要 |
幻視対策はレビー小体型認知症(DLB)患者のリハビリ生活のQOL向上には不可欠である。幻視はDLB初期からの特徴的症状で、投薬等でDLB進行を遅らせても幻視と共に生活を送る必要がある。本研究では、レビー小体型認知症患者に研究協力者と共に幻視認識補助法のための視覚センサを用いた幻視弁別補助法を開発し、実験協力者のもと検証を行っている。 当初の研究計画では、2019年度中は以下の2点を重点的に行う予定であった。1)視線計測装置を用いた注目点の抽出に、簡易型の実験装置を用いた解析を行う 2)カメラの動画像から移動物体の抽出を行う。以上の計画であった。そのうち、2)移動物体の抽出において、従来の画像処理の方式を転用せず、深層学習を用いた画像認識の方式を新たに採用し設計する事とした。近年、深層学習を用いた画像からの物体検出技術が大きく進展しており、動画像中からのリアルタイム性を持った物体検出が可能になってきた。このことから、この技術を用いることとした。このため、深層学習計算環境の整備を行い、システム設計と開発を行っている。その結果、リアルタイム性を持った汎用的な物体検出が可能となったが、DLB患者において発生する幻視において、特に幻視として発生する物体への検出精度を向上させるべく、学習を行っている。1)視線計測に関して、視線計測装置を導入し、視線計測情報との統合を検討した。 2019年度の研究成果として、国内会議(日本知能情報ファジィ学会知的制御研究会第75回知的システム研究会)での発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時で述べた目的を実現するため、2019年度は当初の研究計画より開発するシステムを高精度なものへと向上するため、当初予定していた動画像の処理方式を変更することとして、深層学習を用いた動画像中からの物体検出方式へと変更した。機材の選定と購入をすすめ、これらの処理方式の開発を行った。動画像中の物体検出を、深層学習を用いてリアルタイムに行うことが可能となった。当初の研究計画から処理方式を変更したものの、順調に開発が進み、結果的に当初の研究計画通りであった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度中では、実験環境下での幻視に適切な処理法を開発し、被験者の視線を計測と、動画像の解析による物体情報との統合を行うことで、これを元に適切に幻視情報を提示し、効果的なシステム開発を行う。現在開発している動画像の処理は、一般的な項目の物体検出である。この物体検出において、検出項目をDLB患者での幻視に関連するものに限定し、必要項目を追加で学習を行うことで、DLB患者の幻視へと最適化を行う予定である。また実験協力者の協力のもと、効果的な提示、検出方法の実験検証を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の遂行のため謝金を計上していたが,今年度は研究協力者の協力のもと、データを取得・使用することがきた。そのため,謝金・旅費は0となった。
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