心腎連関という面から長期的運動の心臓への効果について検討するため、Dahl食塩塩感受性ラットを無作為に①通常食塩食(Normal Salt:NS)群、②高食塩食(High Salt:HS)群、③高食塩食+運動(HS+Exercise:Ex)の3群に分け、8週齢より8週間にわたって介入を行った。運動は、ラット用トレッドミルを用いた有酸素運動を1回/日、60分/回、5日/週とし、最終週に血圧測定と心臓エコー検査を施行した。その結果、HS群とHS+Ex群において、心臓エコー検査や組織学的検討、xanthine oxidase活性において有意差が認められなかった。 2022年度の検討で、腎でのperoxisome proliferator-activated receptors (PPAR-α)、PPAR γ coactivator-1α (PGC-1α)蛋白発現が、腎髄質外層においてHS群に比べてHS+Ex群で有意に増加していることを確認した。これらの蛋白は脂肪酸代謝酵素であるcarnitine palmitoyltransferase type I (CPTI)、極長鎖アシルCoA脱水素酵素、中鎖アシルCoA脱水素酵素、短鎖アシルCoA脱水素酵素の転写因子でもある。今回、腎臓におけるこれら脂肪酸代謝酵素の発現について検討したところ、CPTI、極長鎖アシルCoA脱水素酵素の発現がHS群に比べてHS+Ex群で有意に増加した。
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