研究課題/領域番号 |
19K19803
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
前田 直 杏林大学, 保健学部, 助教 (80723494)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 精神障害 / 家族支援 / 配偶者 / 結婚 / ケアラー |
研究実績の概要 |
本研究は、精神障害者と生活を共にする配偶者を対象として、ライフステージの変化に伴って配偶者がどのような困難やニーズを抱えているかを明らかにし、支援プログラムを構築することを目的としている。 筆者は平成28年より、精神障害者家族会の全国組織と共催し、配偶者の立場の人を集めたピアミーティングなどの支援活動を実施している。令和元年度は、その支援活動に参加している配偶者98名を対象とした質問紙調査から、配偶者が抱える困難およびニーズの全体像の把握に努めた。配偶者は「精神的・身体的苦痛を感じ、自身の生活に影響が出る」「病気の症状からくる問題への対処が難しい」「相談先や支援が乏しい」「経済的な問題が生じる」「子どもの養育に影響が出る」などの困難を抱えており、「相談支援」「訪問型支援」「ピアサポート」「経済的問題に対する支援」「医療機関からの支援」「子どもの養育に対する支援」などを望んでいた。対象のうち心身ともに健康である者の割合は27.0%に留まり、ソーシャルサポートは総じて不足していた。 この予備調査をもとに、10名の配偶者に対しライフステージ毎あるいはライフイベント毎に生じる、より詳細な困り事や支援ニーズについてインタビュー調査を実施した。配偶者は就労をはじめとしてさまざまな形で社会参加している一方、“パートナーの精神障害”について誰かに相談することが難しく、孤立感を深めていた。一方で、多くの対象者は、“自身が大切にしている作業”をもっており、その作業に従事することで心身の健康を保とうとしていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和元年度はにインタビュー研究対象者を20名リクルートする予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛要請等の影響で実施が困難となり、年度内は10名の実施に留まった。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は、研究対象者のリクルートを進め、インタビュー調査を実施していく。 質的記述的に分析を進め、精神障害者と生活を共にする配偶者のライフステージ・ライフイベント毎の困難と支援ニーズを整理する。また、配偶者支援に取り組む支援者を対象としたインタビュー調査を実施し、支援内容の検討を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
全国各地で実施されている配偶者支援の取り組みへ参加し、研究協力者のリクルートを行う予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛要請等により実施が困難だったため次年度使用額が生じた。 次年度は研究協力者のリクルートを実施するための出張旅費と謝金に使用する。
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