研究課題/領域番号 |
19K19803
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
前田 直 杏林大学, 保健学部, 助教 (80723494)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 精神障害 / 家族支援 / 配偶者 / 結婚 / ケアラー |
研究実績の概要 |
本研究は、精神障害者と生活を共にする配偶者を対象として、ライフステージの変化に伴って配偶者がどのような困難やニーズを抱えているかを明らかにし、支援プログラムを構築することを目的としている。 2020年度は、精神障害者家族会の全国組織と共催し、配偶者の立場の人を集めたピアミーティングに参加する対象者10名に対して実施したインタビュー調査の分析を進めた。配偶者は、当事者の精神疾患の発症や再発について「はじめは何とかなると思っていた」が、次第に「ひどい状態、生活の混乱」を経験し、「助けてくれる人がいない、孤立した状態」に陥っていた。そのような生活の中で、「いったん休みの期間を設け、仕切りなおす」こと、「家庭内の役槍を分担し、引き受ける」ことを通じて、生活の再構築を進めていた。さらに、「助けてくれる人の存在」や、「当事者の介護から切り離される、楽しめること」を持つことが、生活の質に寄与していることが示唆された。 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、全国各地で開催されてきた配偶者支援の取り組みが中止・延期を余儀なくされる状況があった。そこでウェブ会議システムを用いた家族会の開催を企画し、計8回実施した。各回10名程度の参加があり、これまで全国で支援活動に取り組んできた支援者とも協働し、オンライン環境下での支援活動の可能性を検討した。 精神障害者の配偶者が抱える困難や支援ニーズ、支援活動の取り組みについて、雑誌への寄稿や講演会への参加を通じて理解を得られるように努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度は、精神障害者の配偶者を対象とした支援活動に取り組む支援者に対するインタビューを予定していたが、国内での新型コロナウイルス感染拡大の影響により支援活動の開催そのものが困難となり、調査実施が困難だった。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度においても、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、全国で実施されてる対面式の支援活動の調査(フィールドワーク)の実施は困難が予想される。 ウェブ会議システムを活用したオンラインでの取り組みが少しずつ広がってきており、そうした活動の問題点や利点に焦点を当てながら、支援プログラムの構築を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
全国各地で実施されている配偶者支援の取り組みへ参加し、研究協力者のリクルートを行う予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令等により実施が困難だった。また、成果発表を予定していた学術集会が中止とった。そのため次年度使用額が生じた。 2021年度は研究協力者のリクルートを実施するための出張旅費と謝金に使用する。
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