本研究は、精神障害者と生活を共にする配偶者を対象として、ライフステージの変化に伴って配偶者がどのような困難やニーズを抱えているかを明らかにし、支援プログラムを構築することを目的とした。 2022年度は、精神障害を持つ人と暮らす配偶者の日常生活の経験に関する分析をもとに、関東地方で配偶者を対象とした支援に取り組む「精神に障害がある人の配偶者・パートナーの支援を考える会」においてピア・ミーティングを実施した。 2020年に始まった新型コロナウイルス感染拡大の影響で、支援プログラムは対面での実施が困難となった。そこで実施形式をオンラインに変更し、ピア・ミーティングを展開した。オンラインでの取り組みでは、これまで参加が難しかった遠方の者が参加しやすく、地域を超えた交流が生まれるなどのメリットがあった。一方、多人数での話し合いに技術的な難しさが伴い、1回当たりの参加人数を制限する必要があった。 オンラインでの取り組みが拡充する一方で、対面での支援に対するニーズも根強くみられている。2021年度以降はオンラインでの活動に継続的に参加していたメンバーを中心に、北海道、大阪府、福岡県等で対面式の活動が再開された。更に、2022年度に石川県で新たなグループが立ち上がる等、配偶者支援の活動は広がりをみせている。 精神障害者の配偶者を対象としたピア・ミーティングは、誰にも相談することができず孤立していた者同士をつなぎ、互いに語り合うことで、生きづらさからの回復が得られる。また、回復した参加者の一部は、新たな参加者の回復を支援したいと希望し、グループのコア・メンバーの役割を担うようになっている。本研究で得られた知見は、自助グループの成長を促す効果があると考えられた。
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