研究課題/領域番号 |
19K19807
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
宮口 翔太 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 助教 (60780343)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 経頭蓋交流電流刺激 / 一次運動野 / 小脳 / 運動学習 / 神経ネットワーク |
研究実績の概要 |
我々は,2018年に経頭蓋交流電流刺激(tACS)を用いて一次運動野と小脳半球を同時刺激することにより,運動スキルが向上することを明らかにし,研究成果を国際誌に残した.しかしながら,我々が明らかにしたこの刺激方法が運動学習にも効果を示すかどうかは明らかではなかった. そこで今年度は,この一次運動野と小脳へのtACSが運動学習にも効果を示すかどうかを検討した.対象は健常成人30名とした.tACSは,導電性ゴム電極(5×5 cm)を右一次運動野領域直上および左小脳半球領域直上に貼付し,1.0 mAの強度にて施行した.介入条件は,70 Hzの周波数で刺激する条件(γtACS条件)と疑似刺激条件とした.運動学習課題には,左示指の視覚追従課題を用いた.60 sの視覚追従課題を1 trialとし,各tACS条件施行中に運動学習として8 trial実施した.また,運動学習前および後に各1 trialずつ,さらに翌日に運動パフォーマンスの保持試験として5 trial実施した(計15 trial).本研究の結果,γtACS条件において運動パフォーマンスの保持が向上した.さらに,γtACS中の学習効率が高い被験者ほど運動パフォーマンスの保持が向上する関係性が認められた.本研究により,一次運動野および小脳半球に対するγtACSは,運動パフォーマンスの保持を高める可能性が示唆された.本研究の成果は,第24回日本基礎理学療法学会学術集会にて発表された.また現在国際誌に投稿中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
運動学習に寄与する神経ネットワークの解明には未だ至っていないが,当初の目的である,大脳皮質神経ネットワークの向上が運動学習を促進するかどうかを一部検討することが出来た.またその研究成果を全国学会にて発表し,現在は国際誌へ投稿中であるため,本研究課題の進捗としては,おおむね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,運動学習に寄与する神経ネットワークの解明を試みること,また近年,運動学習中の神経ネットワークの変化よりも,運動練習における練習と練習の間の休息中の神経ネットワークの変化が効率的な運動学習において重要であるという報告もされているため,さらなる刺激方法の検討を進める必要がある.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度,神経ネットワークの解明を目的に脳磁図を用いた計測を行う予定であったが,十分に計画が進まず,計測を完了することが出来なかったため,計測に要する費用を次年度の使用額とし,脳磁図計測に使用する予定である.
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