研究課題/領域番号 |
19K19812
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
前田 寛文 藤田医科大学, 医学部, 講師 (60625490)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 痙縮 / 磁気刺激 |
研究実績の概要 |
2019年度の予備研究をもとに,特定臨床研究の承認後の2020年5月から健常人を対象として磁気刺激の痙縮軽減効果の検討を行った.対象は健常成人11名とした.それぞれの被験者に対し,下腿三頭筋に感覚閾値未満の磁気刺激15分と30分,感覚閾値以上運動閾値未満の磁気刺激6分40秒(10,000発),経皮的電気刺激療法15分,コントロール群として安静15分間の5種類の介入を日を変えて実施した.筋電図・誘発電位装置を用いてヒラメ筋から導出したH波/M波の最大値比にて刺激効果を検討した.その結果,いずれの刺激もコントロールと比較し刺激前後で有意にH波/M波の最大値比の低下を認めた.治療ガイドラインに痙縮治療法の一つとして掲載されている経皮的電気刺激療法との比較では,感覚閾値未満の磁気刺激15分,30分,感覚閾値以上運動閾値未満の磁気刺激のいずれとも有意差を認めなかった.また,感覚閾値未満の磁気刺激30分と感覚閾値以上運動閾値未満の磁気刺激は感覚閾値未満の磁気刺激15分より有意にH波/M波の最大値比の低下を認めたが,感覚閾値未満の磁気刺激30分と感覚閾値以上運動閾値未満の磁気刺激では有意差を認めなかった. 以上から,運動閾値未満の磁気刺激は新規の痙縮治療法として有用である可能性が示唆された.また,磁気刺激装置の開発については,発生磁場を大きくすると装置も大きくなることから,感覚閾値以上運動閾値未満の磁気刺激装置よりも感覚閾値未満の磁気刺激装置で30分程度刺激する方法が臨床応用には適していると考えられた.今年度は健常人での結果を参考に痙縮患者を対象に同様の研究を行い,感覚閾値未満の弱い磁気刺激での新規痙縮治療法の有用性を検討する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
特定臨床研究の承認は2020年5月に得られた.承認後は健常者を対象とした研究は進めることができたが,患者を対象とした研究については,COVID-19 の流行と感染対策のため,着手することができなかった.現在はCOVID-19の感染対策も定着しており,2021年度は患者を対象とした研究を進められる見込みである.
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今後の研究の推進方策 |
痙縮患者を対象に磁気刺激強度の違いによる痙縮軽減効果と痙縮筋および拮抗筋への刺激による痙縮軽減効果について,計画に沿って研究を進める予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度はCOVID-19 の流行と感染対策のため,研究対象は健常者にとどまった.そのため痙縮患者を対象とした研究で使用予定であった運動閾値未満の磁気刺激装置や電極などの消耗品,学会がオンライン開催となったための学会旅費などの費用が繰越となった.今年度は痙縮患者を対象とした研究を実施予定である,必要物品の購入を行う予定である.
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