研究課題/領域番号 |
19K19813
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研究機関 | 大阪電気通信大学 |
研究代表者 |
眞下 苑子 大阪電気通信大学, 共通教育機構, 特任講師 (80824359)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 傷害 / 疾病 / 質問紙 / 翻訳 / 妥当性 / 信頼性 / ウェブ調査 |
研究実績の概要 |
Oslo Sports Trauma Research Center(OSTRC)で開発された2種類の質問紙(OSTRC-O,OSTRC-H)を日本語に翻訳し,日本語版質問紙の作成と質問紙を用いた傷害調査システムを構築することを目的とした.2019年度は,OSTRC質問紙を日本語に翻訳し,日本語版OSTRC質問紙の信頼性・妥当性を検討した.OSTRC質問紙の日本語翻訳は,International Society for Pharmacoeconomics and Outcomes Researchタスクフォースによる報告書に準拠し行なった.日本語版質問紙の妥当性を検討するために,大学運動部に所属するアスリート145人を対象とし,OSTRCの方法に準拠して10週間の調査を行った.また,信頼性を検討するために,10週目の調査から24-72時間以内に再度質問紙に回答してもらった.質問紙の日本語翻訳において,順翻訳版と逆翻訳版の質問紙に大きな相違はなかった.10週間の調査の結果,平均回答率はOSTRC-Oで81.3%,OSTRC-Hで82.7%であり高い回答率が得られた.OSTRC-Oから得られる平均障害有病率は,膝関節14.5%,腰背部17.8%,肩関節16.2%であり,OSTRC-Hから得られる身体上の問題の有病率は35.9%であった.再テスト信頼性において,OSTRC-Oでは膝関節ICC=0.89,腰背部ICC=0.94,肩関節ICC=0.96であり,OSTRC-HではICC=0.97であった.平均回答率から高い回答率が得られ,また障害や身体上の問題の罹患率から日本語版質問紙の妥当性が確認された.さらに,再テスト信頼性の結果から,高い信頼性が示された.この結果は,現在国際雑誌に投稿中であり,今後は日本語版質問紙を用いた傷害調査システムを構築する研究に取り組む予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点で2019年度の実験およびデータ分析が終了している.また,実験結果をまとめて,国際雑誌への論文投稿も完了しているため.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,2019年度において作成した日本語版質問紙を用いた傷害調査システムを構築することを目的として研究に取り組む予定である.現在は,対象者の選定を行っているが,新型コロナウイルス感染拡大の影響でアスリートが十分に活動できていない状況である.そのため,予定している対象者や調査期間に変更が生じる可能性もあるが,スポーツ活動が再開されたのち,対象者を選定し,研究課題に取り組む予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
ウェブ調査システムを構築するために,ウェブサイト開設・維持費を計上していたが,2019年度は対象者が少ないため,外部委託することなくウェブ調査システムを作成することができた.しかし2020年度は対象者が増えることから,ウェブサイトの開設・維持を外部委託する予定であり,委託費によって次年度使用額と合わせて消費される予定である.
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