本研究の目的は、Oslo Sports Trauma Research Center(OSTRC)で開発された2種類の質問紙を日本語に翻訳し、日本語版OSTRC-OおよびOSTRC-Hの信頼性・妥当性を検討することとした。また、日本語版OSTRC質問紙を用いた傷害調査システムを構築することとした。これまで、日本語版OSTRC-OおよびOSTRC-Hの信頼性・妥当性の検討、日本語版OSTRC質問紙を用いた傷害調査システムの構築を行なった。また、日本語版OSTRC質問紙を用いた新たな傷害調査システムは、最も広義の傷害定義である「any complaint」を定義としている。一方、従来の傷害調査システムは最も狭義の定義である「time-loss」を定義にしている場合が多い。新たな傷害調査システムが傷害を抽出できる程度を検討するために、新たな傷害調査システムと従来のシステムの両方で複数のスポーツ種目のアスリートを対象として傷害調査を行い、新たな傷害調査システムは従来のシステムに比べて3 倍の傷害を抽出でき、特に障害では5倍以上の件数を抽出できることを明らかにした。さらに、原版のOSTRC質問紙が改定されたため、それに合わせて日本語版OSTRC質問紙の改定も行った。 最終年度である2022年度は、日本語版OSTRC質問紙の青年期アスリート(中学生・高校生)への適応を行なった。OSTRC質問紙は、成人のアスリートが使用するように作られている。そのため、日本語版OSTRC質問紙も成人のアスリートが使用できるが、 青年期のアスリートも使用できるように、 質問紙の中で使われている文章や言葉を修正した。 その修正には、青年期アスリートへのインタビューを行い、青年期アスリートの意見をもとに修正した。 本研究によって、成人から青年期アスリートまで使用可能な新たな傷害調査システムを構築した。
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