脊髄損傷モデル動物における細胞治療は神経再生に有効とされるが、細胞移植等により脊髄組織が得た再生および自己修復機能を後押しする役割として、薬剤やリハビリテーションを組み合わせた機能再建が注目されている。我々は、再生医療との併用療法として、より効果的なリハビリテーション手法の開発をめざし、脊髄損傷モデルラットに、従来の強制歩行から遊具の豊富な環境での自発歩行を促すものまで、様々な運動介入を行い、有効な運動介入方法を探索することにした。 今年度は、インパクターを用いた挫滅損傷モデルを踏襲し、後肢不全麻痺の脊髄損傷モデル動物を作製した後、2種類の運動介入方法を行った。自発運動群は、オペから2週間後にトレッドミルによる強制歩行を始め、3週間後より8週間後までは遊具を配置した自発的運動を促す環境で15分運動させるという段階付けを行った。強制運動群は、オペから2週間後より8週間後までトレッドミルによる強制歩行を行った。上記の自発運動群・強制運動群と、運動介入を行わない対照群において、行動面、軸索の再生・伸長、再髄鞘化の程度を比較した。 行動面は、Basso-Beattie-Bresnahan(BBB)の変化で調査し、対照群よりも2種類の運動介入群で後肢の運動能力改善がみられた。現在、免疫組織学的な解析を行っている途中である。 以上と並行して、今後、リハビリテーションによる運動機能の改善を調査するために、脊髄伝導性の検査を行うため、電気生理学的な手技を練習している。
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