研究実績の概要 |
人工呼吸器管理中の小児患者の早期人工呼吸器離脱に向けた方策としてリハビリテーション介入が有用な可能性があるが、指示に従えない小児患者において呼吸能力の評価法が確立していないため、現行と異なる評価法が求められる。呼吸機能の評価法に気道内圧を代替する食道内圧を評価する方法があるが、機器が高額で広く汎用されていない現況がある。安価で侵襲なく反復できる方法として超音波検査に注目し、横隔膜超音波検査が食道内圧変化を反映するか検証し、今後の小児呼吸器リハビリテーション活用につなげることを目的とした。 測定プロトコールを確立した上で妥当性の検証を行うことにした。しかし、令和2年度から3年度は新型コロナウィルス感染症への予防対策が広く実施された結果、感染症による肺炎や気管支炎などの呼吸器疾患患者が少なく、本研究の対象とする患者が非常に少なく、対象患者集積中に研究期間が終了となってしまい、超音波検査と食道内圧変化の関連を検討するに足る症例を蓄積できなかった。 途中、最終年度までに研究期間内に十分な症例の蓄積ができないことが予想されたため、超音波検査で横隔膜運動について新たな評価法の確立を試みることとした。横隔膜超音波検査の既存の方法はM-mode法で関心領域を線状に限定しているものが多く、二次元断面(B mode)での変化を評価しているものはない。過去の動画データから吸気時と呼気時を抽出し肝臓側の横隔膜を楕円に近似し、真円度、アスペクト比、円形度を計測した。それぞれ呼気から吸気にかけて0.46±0.07, 3.53±0.71, 0.292±0.055から0.424±0.10, 3.94±0.97, 0.267±0.067と変化し、横隔膜曲線が円形からより線形に近い形に変化していることが確認された。 今後のさらなる研究として、楕円と近似しての変化率と気道内圧や換気量との関係を明らかにしていきたい。
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